10回連続参加の「パーフェクト賞」は3名
EVミーティングの後は、ランチを楽しみながらの表彰式です。例年一番遠くから参加した人に送られる「白馬村長賞」は、岡山県倉敷市からi-MiEVで2日かけて到着した井上 昭次さんが獲得しました。また、10周年イベントとして注目の「パーフェクト賞」は、2014年から毎年欠かさず参加した3名に贈られました。
日産リーフを初代、2代目と乗り継ぎ、今はご主人と「アリア」と「サクラ」の2台体制という中村さつきさんは、知る人ぞ知る「リーフ エバンジェリスト」です。今回は、初めの頃の苦労を思い出すために、あえて電池容量の小さい(20kWh)サクラで参加され、「充電すればどこでも行けることを改めて体感した」とのことでした。
滋賀から毎年参加の三坪達弥さんは、普段は「ミニキャブMiEV」を使っているそうですが、今回はバッテリー容量が半分にまで落ちた初代リーフを50キロごとに充電して白馬に冷や汗をかきながら到着したとのことです。このように、あえて苦労する方法を選んで参加されるオーナーさんも少なくありません。
ランチで同じテーブルだった石毛じゅんこさんは、初代・2代目にわたり10年以上のリーフオーナーで、東京都町田市でウサギホテルを経営されています。長期の預かりで遠く大阪や広島までリーフで引き取りに行くこともあるそうですが、振動が少なく匂いのしないEVでの移動はペットにも優しいとのお話でした。パーフェクト賞のうち2人が女性ですが、女性オーナーや夫婦での参加も多いことが、このEVラリーを和やかな雰囲気にしています。
白馬村も充電環境を刷新
表彰式では、昨年の選挙で当選した40代の若々しい丸山俊朗村長が、今年度は予算を確保し、村役場と道の駅にある25kWの急速充電器を90kW以上の充電器に刷新するとの話がありました。
また、長野県旅館ホテル組合会会長であり全国組織の全旅連の理事を務めるホテル五龍館の中村実彦さんは、2030年までに全国のホテル・旅館の71万室の10%にあたる7万台の普通充電器を整備して「目的地充電」の充実を図る目標が、経産省の「充電インフラ整備検討会」でも俎上に上がっていると紹介されました。
ホテル五龍館は、現在テスラ用2台を含め3台の普通充電器を備えますが、アウディが全旅連の会員施設に対し全国で年間100台の8kW充電器を無償提供するプログラムを利用して、普通充電器2台を近々追加するとのことです。
さらに、白馬EVクラブ事務局担当で「あぜくら山荘」を経営する渡辺俊介さんからは、現在白馬村の900軒の宿のうち40軒に充電器が設置されているが、最近の電気代の高騰やEVバッテリーの大型化で宿泊者に無料充電サービスを提供することが難しくなっており、1時間100円の自己申請方式や、一晩1500円で充電し放題などの課金方式を試験的に実施していくとのお話がありました。
楽しみながら、「More EV!」
このように、白馬EVラリーは、ボランティアに支えられた日本EVクラブと通年型リゾートを目指す地元白馬村の熱意が一つになり、さらに、手のかかる子供のようにEVを愛しみ、楽しんできたEVオーナーが一緒になって育ててきたイベントです。クラシックカーのイベントにも似た和気藹々とした雰囲気に満ち、お互いの学びと交流の場となっています。
日本EVクラブ代表の舘内端さんは、「この10年でEVの楽しみ方を知り、使う環境も整備されつつあります。世界主要国でEV普及率が最低の日本に、世界に胸を張れるくらいEVを普及させようではありませんか。More EV!」と次の10年への抱負を語りました。