アメリカ市場でのベースモデル価格は$7599≒106万円!!
そのスタイリングの新規性、商品コンセプトのユニークさ、そしてZ世代は旧世代よりも電気自動車(EV)に対する抵抗感が少ないという市場調査などなど、BMWの目論見どおりCE 02が若者にウケる可能性は大いにあるといえるかもしれない。
しかし気になる点が、いくつかあるのも事実だ。まず第一に、アメリカ市場の価格7599ドル〜という高額商品であることだ。同じような車格・出力レンジのICE(内燃機関)搭載商品は、ホンダ グロムがあるが、同車のアメリカでの希望小売価格は3599ドル〜とCE 02のベース価格より半額以上も安価だ。
CE 02が提唱する新ジャンル「eパークラー」的な使い方・・・都市のライフスタイルを楽しむパートナーとしての使い方は、グロムでもこなすことは可能だろう(テールパイプから排気ガスを出すことは、ICE搭載車ゆえ目を瞑ることになるが)。実際のところ、2倍強の価格差を気にしないでグロムではなくCE 02を選ぶZ世代がどれだけいるかは、ちょっと数字として推察が難しい。
もっともグロムより高いだけあって、CE 02の装備は非常に充実したものだ。スマートフォンなどの充電が可能なUSB-Cソケット、CE 04同様にBMWモトラッド コネクテッド アプリ対応、キーレスイグニッション、リバース機構、盗難防止アラーム等々はいずれも、グロムのようなミニバイクには標準装備がのぞめない装備である。
ともあれ大企業のBMWが、マーケットリサーチをないがしろにすることは決してないだろう。BMWがCE 02のカスタマー層として想定するのは、10ドル超えのコーヒーを躊躇することなく注文することができるような、比較的裕福な家庭の若者たちなのかもしれない。
もし日本市場にCE 02が導入されることになったら? 30年近く実質賃金が下落している日本の若者たちにとって、7500ドルオーバーの電動2輪車は購入対象にはなりにくいだろう。購買力の高い中高年層の、EVに関心のあるアーリーアダプター気質の人たちが、主なカスタマーになると予想される。
電動スクーターCE 04のセールス初年度・・・2022年の世界での販売台数は約5000台というものだったが、はたしてCE 02はどれだけのセールス記録を初年度に叩き出すことになるのだろうか? 今後の販売状況を注視したい。
●著者プロフィール
宮﨑健太郎(みやざき けんたろう)1969(昭和44)年東京生まれ。1990年よりエディターおよびライターとして、雑誌など各種メディアで活動中。専門分野は戦前〜1970年代クラシックモーターサイクル、医学ジャーナル、ツーリズム。近年は主にWEBメディアのLawrence(https://lrnc.cc)編集長として、2輪EVなど2050カーボンニュートラル関連の、国内外最新情報を発信している。愛車は1970年型BMW R60/5ほか。