2021年9月にドイツ・ミュンヘンで開催された「IAAモビリティ 2021」に出展され、話題となったBMWの「コンセプトCE 02」が、ついに市販されることになった(日本導入は未定)。若者へのアピール製品と、BMWはこのCE 02を紹介しているのだが、はたして「Z世代」と呼ばれる彼らに受け入れられるのだろうか?

アメリカ市場でのベースモデル価格は$7599≒106万円!!

そのスタイリングの新規性、商品コンセプトのユニークさ、そしてZ世代は旧世代よりも電気自動車(EV)に対する抵抗感が少ないという市場調査などなど、BMWの目論見どおりCE 02が若者にウケる可能性は大いにあるといえるかもしれない。

しかし気になる点が、いくつかあるのも事実だ。まず第一に、アメリカ市場の価格7599ドル〜という高額商品であることだ。同じような車格・出力レンジのICE(内燃機関)搭載商品は、ホンダ グロムがあるが、同車のアメリカでの希望小売価格は3599ドル〜とCE 02のベース価格より半額以上も安価だ。

画像: 日本市場でも人気のホンダ グロム。国内では39万500円(税込)で販売。7.4kW(10ps)を発生する、空冷4ストロークOHC123cc単気筒エンジンを搭載しており、ミニバイクレース用としてもその多くが愛用されている。 powersports.honda.com

日本市場でも人気のホンダ グロム。国内では39万500円(税込)で販売。7.4kW(10ps)を発生する、空冷4ストロークOHC123cc単気筒エンジンを搭載しており、ミニバイクレース用としてもその多くが愛用されている。

powersports.honda.com

CE 02が提唱する新ジャンル「eパークラー」的な使い方・・・都市のライフスタイルを楽しむパートナーとしての使い方は、グロムでもこなすことは可能だろう(テールパイプから排気ガスを出すことは、ICE搭載車ゆえ目を瞑ることになるが)。実際のところ、2倍強の価格差を気にしないでグロムではなくCE 02を選ぶZ世代がどれだけいるかは、ちょっと数字として推察が難しい。

もっともグロムより高いだけあって、CE 02の装備は非常に充実したものだ。スマートフォンなどの充電が可能なUSB-Cソケット、CE 04同様にBMWモトラッド コネクテッド アプリ対応、キーレスイグニッション、リバース機構、盗難防止アラーム等々はいずれも、グロムのようなミニバイクには標準装備がのぞめない装備である。

画像: 11kW仕様のCE 02の航続距離は90km(WMTC)。標準装備の0.9kW外部充電器を使い、家庭用コンセントから充電することができるが、オプションの1.5kW充電器での急速充電も可能だ。なおゼロから満充電までの時間は0.9kW=約5時間、1.5kW=3.5時間であり、20〜80%充電の場合はそれぞれ2.8時間、2.3時間とBMWは説明している。 www.bmw-motorrad.com

11kW仕様のCE 02の航続距離は90km(WMTC)。標準装備の0.9kW外部充電器を使い、家庭用コンセントから充電することができるが、オプションの1.5kW充電器での急速充電も可能だ。なおゼロから満充電までの時間は0.9kW=約5時間、1.5kW=3.5時間であり、20〜80%充電の場合はそれぞれ2.8時間、2.3時間とBMWは説明している。

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画像: 3.5インチTFT液晶ディスプレイを標準で備えるCE 02だが、ハンドルポスト部のスマートフォンホルダー、BMWモトラッド コネクテッド アプリを使うことで、スマートフォンを更なるディスプレイとして活用することが可能になる。 www.bmwmotorcycles.com

3.5インチTFT液晶ディスプレイを標準で備えるCE 02だが、ハンドルポスト部のスマートフォンホルダー、BMWモトラッド コネクテッド アプリを使うことで、スマートフォンを更なるディスプレイとして活用することが可能になる。

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ともあれ大企業のBMWが、マーケットリサーチをないがしろにすることは決してないだろう。BMWがCE 02のカスタマー層として想定するのは、10ドル超えのコーヒーを躊躇することなく注文することができるような、比較的裕福な家庭の若者たちなのかもしれない。

もし日本市場にCE 02が導入されることになったら? 30年近く実質賃金が下落している日本の若者たちにとって、7500ドルオーバーの電動2輪車は購入対象にはなりにくいだろう。購買力の高い中高年層の、EVに関心のあるアーリーアダプター気質の人たちが、主なカスタマーになると予想される。

電動スクーターCE 04のセールス初年度・・・2022年の世界での販売台数は約5000台というものだったが、はたしてCE 02はどれだけのセールス記録を初年度に叩き出すことになるのだろうか? 今後の販売状況を注視したい。

画像: CLOSE LOOK — The new BMW CE 02 www.youtube.com

CLOSE LOOK — The new BMW CE 02

www.youtube.com

●著者プロフィール
宮﨑健太郎(みやざき けんたろう)1969(昭和44)年東京生まれ。1990年よりエディターおよびライターとして、雑誌など各種メディアで活動中。専門分野は戦前〜1970年代クラシックモーターサイクル、医学ジャーナル、ツーリズム。近年は主にWEBメディアのLawrence(https://lrnc.cc)編集長として、2輪EVなど2050カーボンニュートラル関連の、国内外最新情報を発信している。愛車は1970年型BMW R60/5ほか。

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