ランニングコストは、どっちがお得?
ランニングコストの多くを占めるものが燃料費だ。EVである「RZ450e バージョンL」は電気だけで走ることができるが、その電費性能は147Wh/km(WLTCモード)となる。これは1kmを走るのに、147Whの電気を消費するという数値だ。
この数値で年間に1万kmを走ると、必要な電力は1470000Whとなる。これをkWhに換算すると1470kWhになる。電気の料金は契約内容次第のところがあるので幅があるが、1kWhあたり25円で計算してみよう。すると、1470kWhは3万6750円になる。つまり、「RZ450e バージョンL」で、年間1万kmを走行すると、かかる電気料金は3万6750円ということだ。
では、PHEVの「RX450h+バージョンL」はどうか。こちらは1回の満充電で最長86km走ることができる。自宅で充電して、1回の走行を86km以内に限定すれば、電気だけで走り続けることが可能だ。その場合の電費は、178Wh/km(WLTCモード)。これで年間1万kmを走ると消費するのは1780000Wh=1780kWhの電力となる。この電力を1kWhあたり25円で計算すると、その金額は4万4500円だ。「RX450+バージョンL」を電気だけで1年1万km走らせると、かかる電気料金は4万4500円ということになる。
また、「RX450h+バージョンL」はガソリンだけで走ることもできる。その場合の燃費性能は、18.8km/L(WLTCモード)。この燃費性能で、年間1万km走った場合を計算すると、必要になるガソリンの量は約532Lだ。これは、1L当たりのガソリン価格を170円として計算すると9万0440円となる。
2台を比較して燃料費を計算すると、電気だけで比べても、電気とガソリンで比べても、どちらもEVである「RZ450eバージョンL」が勝っている。
トータルでは、どう判断すればいい?
購入時の補助金が多いのもEVの「RZ450e バージョンL」であり、年間にかかる燃料費(電気代)も「RZ450e バージョンL」が勝る。つまり、お金の話でお得度だけを考えると、EVに軍配が上がると言えるだろう。車格が同じで、新車価格が同じ程度であれば、補助金の額の大きいEVが有利になるというわけだ。
ただし、クルマとしての使い方にはEVとPHEVは違いがある。「いつでもどこでも、常に電動走行をしたい」というのであれば、間違いなくEVの「RZ450eバージョンL」を手に入れるべきだろう。
一方、「電動走行は欲しいけれど、充電設備を気にせずに、あちこちに出かけたい」というのであれば、PHEVをおすすめしたい。現時点では、旅先で給油するよりも、充電するほうが困難なケースがほとんどだからだ。
EVかPEHVで悩むときは、価格面だけでなく、どのように利用するのかも、しっかりと考慮すべきだろう。
●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。