渋滞のない世界を実現する「空飛ぶクルマ」
空飛ぶクルマに明確な定義はまだないのだが、国交省では「電動」、「自動化(航空・操縦領域)」、「垂直離着陸」できる乗り物(=eVTOL)をイメージしている。
日本では都市部での送迎サービスや、離島や山間部での移動手段、災害時の緊急搬送などの活用を想定しているようだ。ちなみに海外では、Advanced Air Mobility(AAM)や Urban Air Mobility(UAM)と呼ばれている。
「空飛ぶクルマ」と言っても、その実用化には車体の開発はもちろん、運行に関連する法整備、さらには管制システムの開発などさまざまなハードルがある。
だれでも自由に空を飛べるようになるにはまだしばらく時間がかかりそうだが、すでに2019年には「未来投資戦略2019」が閣議決定され、そのなかでは「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づいて2023年6月20日からの事業開始を目標とすることが謳われている。
つまり、個人所有ではなく、事業としてたとえば「空飛ぶタクシー」などの実用化は目前に迫っていると考えて良さそうだ。
今回の基本合意書には、SkyDriveが「空飛ぶクルマ」の製造を目的とした100%出資の子会社を設立し、スズキの所有する静岡県内の工場を活用し、2024年春ごろ、「空飛ぶクルマ」の製造開始を目指すというところまでだ。
スズキはSkyDrive製造子会社の人材確保など製造開始に向けた準備についても協力するという。より具体的な条件については協議を継続し、別途取り決める予定だという。発表に際して公表された両社代表のコメントは以下のとおりだ。
スズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木 俊宏:「SkyDriveと協力一致し、価値ある製品作りを通じて、日常的に空を活用するAir Mobilityの実現に貢献できるよう、意欲的に前進してまいります」
株式会社SkyDrive 代表取締役CEO 福澤 知浩:「コンパクトなクルマづくりを推進されているスズキ様と、コンパクト軽量なエアモビリティを開発するSkyDriveは、2022年3月より協業を続けてきましたが、今回、スズキ様の協力を得てSKYDRIVEの機体製造を行う事となり、大変ありがたく思います。世界に対して安全で品質の高い機体を、安定して製造し続けるために、これまで世界中で自動車の量産を続けていらっしゃった、スズキ様のノウハウを伝授いただきながら、日常の移動に空を活用する社会の実現を目指していきます」
2025年に開催される「大阪・関西万博」では空飛ぶクルマが2地点間運行を行う予定だが、これから実用化への動きが活発になっていくことは間違いないだろう。