最近よく聞く「V2H(ブイツーエイチ:Vehicle to Home)」とは、家とEV/PHEVをつないで互いに電気をやりとりすること。EVやPHEVを家庭用電源の蓄電池として使ったり、太陽光パネルなどで発電した電気をEV/PHEVに充電したりするものだ。これを可能にする機器の補助金の受付が3月31日から始まっているのでその概要をお伝えする。

EV/PHEVを有効活用したいならぜひ欲しい設備

家からクルマへ、クルマから家へ電力を送るにしても家庭用電源は交流(AC)であり、EV/PHEVの電池に蓄えられている電気は直流(DC)なので、家庭で使用するには交流に変換しなければならない。そこで必要になるのが充放電変換装置(以下、V2H機器)だ。この変換装置本体をV2Hと呼ぶことも多い。

V2H機器を設置する最大のメリットは、災害などによる停電時の電源確保。一般家庭(4人家族モデル)で1日に使われる消費電力はせいぜい10kWhほど。EVの蓄電容量は小さな軽EV(日産サクラや三菱eKクロスEV)でも20kWhある。いまや60kWh〜70kWhを超えるバッテリー搭載車も珍しくない。

また発電用のエンジンを備えるPHEVではやや電池容量は少なくなるが、それでも家庭用蓄電池と同等もしくはそれ以上の容量がある(トヨタRAV4 PHVで18.1kWh)。つまり、大規模な停電が発生しても、理論上は2日以上持ちこたえることができる。

さらに深夜電気料金が割安になるプランに契約しておけば、夜間にEV/PHEVに充電しておき、日中はクルマ側に蓄えた電気を家庭で使えばトータルの世帯電気代が削減できる。

V2H機器には、EV/PHEVに蓄えた電気と電力会社の電気、さらに太陽光発電などを同時に使える「連系型」と、同時使用ができず都度電源を切り替えて使用する「非連動型」に大別される。さらに停電時に使える総電力に制限がある「特定負荷型」と制限がない「全負荷型」がある。

予算が尽きればそのまま受付は締め切られるので注意

実際にV2H機器を導入する際には、国や地方自治体が用意する補助金を活用するのが最善だ。ちなみにV2H機器本体の価格は、40万円台から100万円オーバーまでさまざまだ(上述のような性能差によって価格差が大きい)。さらに設置工事に30万円〜50万円ほどかかってしまう。すべてを補助金で賄うことはなかなか難しいが、工夫次第で導入のハードルはかなり下がる。

国の補助金(=CEV充電インフラ補助金)は、令和5年3月31日から同年10月31日まで受け付けている。対象は「V2H充放電設備購入価格」の最大2分の1(機器メーカーおよび型式に限られる:上限75万円)、「V2H充放電設備の設置工事費」が40万円(設置場所区分により変動)となる。

ただし、V2H関連の補助金予算はわずか「50億円」と、EVやPHEVなど車両購入に対して圧倒的に少ない。申請総額が予算額を超過する可能性があれば、10月31日を待たずに受付が締め切られることになる。V2H機器の設置を検討しているのであれば、なるべく早く行動に移すべきだろう。

●V2H充放電機器 補助金交付額
・アイケイエス(3機種):75万円
・GSユアサ(2機種):75万円
・椿本チェイン:(6機種):75万円
・デンソー(1機種):55万円
・東光高岳:(1機種):37万5000円
・ニチコン(15機種):24万9000円〜75万円
<参考:一般社団法人次世代自動車振興センターの資料より>

また自治体・市区町村でも、独自にV2Hの補助金を設定していることもある。国の補助金と併用すれば、V2H導入のコストをかなり低減できるだろう。たとえば、東京都の場合、本体設置価格の2分の1(CEV認定機種に限る:上限50万円)とかなりの補助金が交付される。他の自治体や市町村でも実施しているところが多いので、お住いの自治体や市町村のホームページなどで確認しておきたい。

いずれの場合でも、申請はかなり複雑で専門的な知識が必要になる。EVやPHEVの購入にあたってV2H機器も同時に案内している販売店も多いので、まずは相談してみるのがお勧めだ。

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