トヨタ自動車は2026年10月5日、水素を燃料とする新型燃料電池路線バス(FC路線バス)「SORA」を発売した。2018年発売の初代から進化し、航続距離や安全性、使い勝手が大きく向上している。

文:スマートモビリティJP編集部
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トヨタの水素への取り組み

トヨタは2014年に燃料電池自動車「MIRAI」を発売し、30か国以上の地域に販売してきた。2019年からは燃料電池システムの供給も開始し、現在では全世界100社以上に3500基を超えるシステムを供給している。また、パートナー企業とともに、水素カートリッジや水素サウナなども開発し、日常生活に身近な領域でも脱炭素化も推進している。

こうした水素社会の実現に向けた取り組みの一つとして、トヨタは2018年に初代「SORA」を販売開始。燃料電池を搭載した路線バスとして、公共交通における水素利活用の価値を提示してきた。

今回登場した二代目「SORA」は、路線バスのゼロエミッション化の一環として、いすゞ自動車とトヨタが共同開発した次世代モデルだ。いすゞが開発したBEVフルフラット路線バスのプラットフォームに、トヨタが開発した燃料電池システムを組み合わせており、BEVとFCEVで部品を共通化することでコスト低減を図っている。

進化ポイント① 航続距離は300km以上に

燃料電池と大容量バッテリーを効率よく使い分けて燃費を向上させ、初代SORAより航続距離を約100km伸ばした結果、航続距離は300km以上(トヨタ測定の参考値)に進化。商用車向けに小型化し、出力と耐久性を高めた燃料電池スタックを採用し、スムーズで安定した運行を実現した。

さらに新開発の大型水素タンクにより、燃料電池システムを屋根上にコンパクトに搭載することにより、バス事業者による車両メンテナンスもしやすくなっている。

画像: 屋根上に燃料電池システムを配置することで、車両メンテナンスがしやすくなっている。

屋根上に燃料電池システムを配置することで、車両メンテナンスがしやすくなっている。

進化ポイント② 安全機能の強化

新型SORAには、ドライバーステータスモニター(DSM)と連動し、異常時には車両を減速・停車させるドライバー異常時対応システム(EDSS)を装備。停車後は自動でパーキングブレーキが作動するため、坂道でも安全を確保できる。

また、車両前方の歩行者や自転車を検知してドライバーに知らせる「フロントブラインドスポットモニター」も備え、車外事故の低減に貢献する。

進化ポイント③ 誰にも優しい使い勝手

車室内は段差のないフルフラットフロアで、車いすやベビーカーを利用する人も安全にスムーズに移動できる。オプションとして、車いすユーザーの乗降と運転士によるスムーズな固定作業をサポートする車いすワンタッチ固定装置が設定される。

画像: 段差のないフルフラットフロアなので、車椅子やベビーカーでもスムーズに車内を移動できる。

段差のないフルフラットフロアなので、車椅子やベビーカーでもスムーズに車内を移動できる。

モデルラインナップは座席配置の異なる都市型と郊外型の計4車型で展開し、多様な路線ニーズに対応する。

水素の満充填は約10分で可能で、稼働率が重視される路線バスの運行にも適しているだけでなく。新しい高速充填規格にも対応しており、対応する水素ステーションが整備されれば、充填時間は約半分に短縮できる。さらに、外部給電器を接続すれば、災害時の非常用電源としても使える。

画像: オプション設定される「車いすワンタッチ固定装置」

オプション設定される「車いすワンタッチ固定装置」

トヨタは、今後も水素大動脈構想をはじめ、行政や事業者と連携して水素モビリティの社会実装を推進していく方針だ。カーボンニュートラルに向けた公共交通の新たな選択肢として、全国の路線バスでの活躍が期待される。

トヨタ「SORA」 主要諸元

全長×全幅×全高        :10545×2485×3440mm
定員(座席+立席+乗務員)  :70(19+50+1)人
最高出力           :220kW(110kW×2)
最大トルク          :970Nm(485Nm×2)
高圧水素タンク        :3本(70MPa)、タンク容積471L

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