廃食用油を原料にしたバイオディーゼルには、大きく分けて「FAME」と「HVO」の2種類がある。マツダファンフェスタ2026の平野石油ブースにて、実物を間近で観察する機会を得たので、2種類の違いを実体験を含めてご紹介したいと思う。

文:スマートモビリティJP編集部
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原料は同じ、製法と性状は全然違う「FAME」と「HVO」

近年、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、バイオ燃料への関心が高まっている。電動化が難しい航空機分野ではSAF(持続可能な航空燃料)、地上輸送ではトラック用のバイオディーゼルが注目されている。

バイオディーゼルでは、主に動植物油や廃食油等を原料として、メチルエステル化処理によって製造されるFAME(Fatty Acid Methyl Ester/脂肪酸メチルエステル)と、水素化処理して製造されるHVO(Hydrotreated Vegetable Oil/水素化植物油)が有名だ。

両者は同じ原料から製造されるバイオ燃料だが、化学構造が異なるため性質(性状)もまったく異なる。

FAMEは、比較的シンプルな化学反応のエステル交換を用いて製造されるため、植物油の分子構造が残り、水分を吸収しやすく酸化・劣化しやすいという植物油特有の弱点も引き継いでいる。

画像: 黄色く、食用油と似た強い匂いを発する点が特長だ。

黄色く、食用油と似た強い匂いを発する点が特長だ。

比較的低コストで生産できるため日本各地で製造されているものの、純度を高める(従来燃料との混合率を上げる)と空気中の酸素・光・熱の影響で品質劣化しやすく、ゴム製品の膨潤や金属腐食リスクがあるので運用面での影響が懸念されている。

一方で、HVOはより複雑な水素化処理を行うことで、原料から酸素を除去し、石油由来の軽油に近い分子構造に変化させる。

画像: HVO混合比率が上がるほど地方税法上の軽油密度に適合させることが難しい。

HVO混合比率が上がるほど地方税法上の軽油密度に適合させることが難しい。

性状が軽油とほぼ同等で高性能であることに加え、燃料ホースやエンジンなどへの悪影響も少なく、高純度でもそのまま利用できるというメリットがある代わりに、高い製造コストや、石油由来の軽油より密度が低い物性ゆえに制約が多い点が指摘されている。

バイオ原料要素が残る「FAME」とほぼ軽油成分に置き換わった「HVO」

マツダファンフェスタ2026では、平野石油ブースにおいてHVOとFAMEの実物サンプルが並べて展示されていた。

見た目の時点ですでに明確な違いがあり、HVOはほぼ無色透明で澄んだ印象なのに対して、FAMEは黄色味を帯びた油らしい色合いをしている。

匂いの差はさらに明確だ。HVOは軽油特有のツンとした刺激臭が弱く、ほとんど気にならない一方、FAMEは菜種油や天ぷら油を思わせる甘く油っぽい香りが漂い、原料が植物油であることを鼻で実感した。

画像: HVOは、薄い黄色をしており、匂いもほぼ発しない。

HVOは、薄い黄色をしており、匂いもほぼ発しない。

とはいえ、両者の生産量には依然として大きな差がある。まだしばらくの間は質の高いHVOと量産しやすいFAMEをうまく使い分けるハイローミックスの考えで導入が広がっていくのではないだろうか。

なお、バイオ燃料の原料となる廃食用油は家庭や事業者から回収されているため、今後のバイオ燃料生産量拡大には、各家庭の廃食用油の回収率を上げる取り組みが求められる。

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