2026年10月1日、スカイドライブは大阪メトロや大阪府・大阪市などと共同で、大阪市内のビル屋上にある緊急離着陸場を空飛ぶクルマの離着陸場として活用できるか調べる事業を開始した。2028年頃の社会実装を目指す。

文:スマートモビリティJP編集部
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ビルの屋上ヘリポートを空飛ぶクルマの離着陸場としても使いたい

「空飛ぶクルマ」が大阪の街を行き交う未来に、一歩近づいた。2026年10月1日、空飛ぶクルマを開発するスカイドライブが、大阪市内のビル屋上にある緊急離着陸場を離着陸場として活用する調査を始めると発表したのである。

空飛ぶクルマとは、電動化や自動化といった航空技術を使って垂直に離着陸できる次世代の空の移動手段で、海外ではAAMやUAMなどと呼ばれる。ヘリコプターよりも小型で静かな機体が多く、都市での日常的な移動手段として期待されている。

画像: 大阪・関西万博でのデモフライトの様子。

大阪・関西万博でのデモフライトの様子。

今回の調査は、大阪メトロ、スカイドライブ、大阪府・大阪市の事業共同体が内閣府のスーパーシティ関連事業に応募し、採択されたものだ。長大、関西電力、空港振興・環境整備支援機構も協力事業者として参加する。

調査の内容は大きく四つある。一つ目は、周辺の空域が航空法上問題ないかの確認。二つ目は、ビル風や騒音がどの程度になるかのシミュレーション。三つ目は、屋上の床が機体の重さに耐えられるか、充電設備を置けるかといった転用の実現性の検討。四つ目は、消防など関係機関と、災害時の救助活動と日常の運航を両立させるルールを話し合うことだ。

この取り組みの意義は、離着陸場の不足という課題に対し、新しい土地を確保せずに対応できる可能性を示すという点にある。

都心部には広い用地が少なく、離着陸場をゼロから作るのは難しい。一方、大阪市内には、高さ100メートルを超える高層ビルなどに設置が義務づけられた緊急離着陸場(Hマーク)が146カ所ある。床の強度や消火設備、夜間照明がすでに整っているため、活用できれば建設コストを大きく抑えられる。

画像: 大阪市内146カ所の既存ビル屋上ヘリポート(緊急離着陸場)

大阪市内146カ所の既存ビル屋上ヘリポート(緊急離着陸場)

これまでの離着陸場の調査は、新設拠点の整備を検討するものが中心だった。また、大阪市内の屋上緊急離着陸場についても、これまで災害救助等の緊急用途を前提に整備されてきたため、旅客輸送を伴う空飛ぶクルマの商用運航における離着陸場として転用するための具体的な許可要件や運用ルールは、十分に整理されてこなかった。

今回の事業では、机上調査に加えて対象ビルでの現地調査も行うことで、許可取得に必要な安全面や運用面の根拠を具体的に整理し、今後に繋げようとしている。

2028年の運航開始を目指して

スカイドライブと大阪メトロは、2028年頃の空飛ぶクルマの社会実装を目標に掲げる。調査の成果は、今後策定される離着陸場(バーティポート)の整備基準に反映される見込みだ。同様の課題を抱える他地域への展開も視野に入れている。

ただし、実現には課題も残る。騒音やビル風への地域の理解、ビル所有者との調整、緊急時に救命救助を最優先とする運用の担保などは、丁寧な議論が求められるだろう。

それでも、既存の建物を生かして空の移動網を築く発想は、コストと時間の両面で現実的な道筋を示している。大阪での検証が、日本の都市空間における「空の移動」の標準モデルとなるか、今後の成果に注目したい。

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