2026年8月19日、中国民間ロケット企業LandSpaceは再利用型ロケット「朱雀3型(Zhuque-3)」の打ち上げおよび一段目の回収に成功した。同機にはDJIの民生用アクションカメラ「Osmo Action 6」12台が搭載され、宇宙到達から帰還に至るまで全行程の高解像度撮影も実施している。

文: スマートモビリティJP編集部
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ランドスペースは中国版スペースXになれるか

朱雀3型は、中国の民間宇宙企業「藍箭航天(ランドスペース)」が開発している2段式の再使用型液体燃料ロケット。再利用による打ち上げコスト削減がコンセプトであるため、スペースXのスターシップ同様、「安くて頑丈なステンレス」と「汚れにくく扱いやすい液化メタン・液体酸素燃料」の組み合わせを採用している。

画像: 9基のメインエンジンと4本の着陸脚を備える。

9基のメインエンジンと4本の着陸脚を備える。

また、1段目に姿勢制御用のグリッドフィンと着陸脚を搭載し、自律制御で機体をコントロールしながら陸上で着陸・回収できるように設計されている点が特長だ。

今回の打ち上げでは、2段目は搭載していた衛星を無事軌道に投入し、切り離された1段目も着陸場への軟着陸に成功した。

ロケット表面に市販の「Osmo Action 6」を搭載し、全行程の記録に成功

今回の打ち上げ、実は再使用型ロケットの実証以外にも、ユニークな実験が行われている。その主役となるのはDJIの人気アクションカメラ「Osmo Action 6」、1段目ロケットに12台が搭載され、打ち上げから大気圏再突入、着陸にいたる全行程をロケットからの視点で記録していたのだという。

画像: Osmo Action 6をロケットに取り付ける様子。

Osmo Action 6をロケットに取り付ける様子。

特筆すべきは、このカメラが宇宙環境用の特殊な改造を一切受けていない、一般市場向けの量産品を載せていたという点だ。

ロケットの飛行中、機体表面は空力加熱により最大500℃の高温に達し、エンジン点火に伴う激しい高周波振動が発生する。さらに、大気圏通過時には外部通信が遮断されるブラックアウト現象も起きるが、Osmo Action 6は優れた耐熱・耐震設計と、内蔵ストレージへの直接記録により、過酷な環境をすべて耐えきった。

しかも、Osmo Action 6に搭載された最先端のカメラスペックのおかげで、4K・120fps、13.5ストップのダイナミックレンジというリッチな映像を収めることに成功している。

画像: ロケットの動作記録映像として、十分な画質で撮影できることが証明された。

ロケットの動作記録映像として、十分な画質で撮影できることが証明された。

ロケット特有の高周波振動の揺れについては、新世代の強力な電子手ぶれ補正アルゴリズムで除去。宇宙空間の強烈な直射日光や、地上付近の逆光や砂塵が舞う複雑な光学環境においても、1/1.1インチの大型スクエアイメージセンサーと、f/2.0からf/4.0の可変絞り機能により、エンジンの点火、グリッドフィンの動作、着地時の衝撃吸収といった高速な事象を豊かなディテールで鮮明に捉えることができた。

画像: 実際の打ち上げ〜帰還映像 www.youtube.com

実際の打ち上げ〜帰還映像

www.youtube.com

ちなみに、DJIの映像機器は、Osmo Action 6での一人称視点撮影に加えて、空撮用ドローンの「Mavic 4 Pro」、赤外線熱画像撮影用の産業ドローン「Matrice 4TD」、360度カメラ「Osmo 360 II」、およびシネマティック品質のジンバルカメラ「Osmo Pocket 4P」によるロケット外からの記録も実施。地上からの撮影、高高度からの状況把握とサーマルイメージング監視など、複数の視点から記録に成功している。

再利用型ロケットと民生カメラ技術が宇宙開発の新時代到来を告げる

市販のアクションカメラが宇宙空間の過酷な条件下で正常に動作し、高精細な記録データを完全に持ち帰ったことは、航空宇宙工学の観点からも極めて有益な成果である。回収された映像データは、エンジニアがプロセス検証や機体評価を正確に行うための貴重な資料となった。

画像: 民生用カメラも技術革新により、宇宙開発に貢献できる水準まで到達しつつあるようだ。

民生用カメラも技術革新により、宇宙開発に貢献できる水準まで到達しつつあるようだ。

朱雀3型が証明した垂直離着陸技術の確立と、それを克明に記録したOsmo Action 6の圧倒的な耐久性は、今後の宇宙開発がより低コストで効率的な新時代へ突入したことを示唆しているのかもしれない。

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