2026年6月2日、日本郵船は、同社が運航する自動車専用船において、主に廃食油を原料とする純度100%のバイオ燃料(B100)の利用実証を開始したと発表した。この実証は長期トライアルとして1年間実施され、船舶機器への影響や運用上の安全性が検証されるという。

純度100%のバイオ燃料の利用拡大につながるか

国際的な脱炭素化の機運の高まりを背景に、海運業界で石油代替燃料の導入が進んでおり、中でもバイオ燃料は既存の船舶設備を活用できる「ドロップイン燃料」として注目を集めている。

バイオディーゼル燃料には、主に動植物油や廃食油等を原料としてメチルエステル化処理によって製造されるFAME(Fatty Acid Methyl Ester/脂肪酸メチルエステル)と、同じ原料を水素化処理して製造されるHVO(Hydrotreated Vegetable Oil/水素化植物油)の2種類が存在する。

FAMEはすでに比較的低コストで日本各地で製造されているが、純度を高める(従来燃料との混合率を上げる)と空気中の酸素・光・熱の影響で品質劣化しやすく、ゴム製品の膨潤や金属腐食リスクがあるため運用面での影響が懸念されている。

一方で、HVOは製造コストが高いという課題こそあるものの、性状が軽油とほぼ同等で高性能であることに加え、燃料ホースやエンジンなどへの悪影響もなく、高純度でもそのまま利用できるというメリットがある。また、石油由来の軽油より密度が低いため、使用にあたって規制面の制約も多い。

従来から日本郵船はFAMEを用いた実証を行っており、2024年に重油にFAMEを24%混合した「B24」でトライアルを開始。その後、混合率を高めた「B30」まで実使用範囲を拡大し、燃料の品質劣化や船舶機器への影響がないことなどを確認しているようだ。

今回のトライアルでは、自動車専用船において純度100%のバイオ燃料である「B100」を1年間継続使用し、エンジンや燃料供給システムへの影響、運用上の留意点などが検証される。

実運航を通じた長期データの取得を通じて、今後の高純度バイオ燃料の活用と安全運航の両立に資する技術的知見の蓄積を目指す方針だ。

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