低コストな打ち上げを実現する30形態がデビュー
JAXAの主力ロケット「H3」は、2023年から試験機の運用を、2024年からは量産機の運用が開始された最新鋭の新型ロケットだ。従来の「H-IIA」からさらに打ち上げコストの削減と打ち上げ能力アップを両立し、さまざまなミッションに柔軟に利用可能で信頼性の高い「使いやすい」ロケットとして開発されている。
H3ロケットは、搭載する衛星の大きさや重さに応じて、第1段メインエンジン「LE-9」の基数と固体ロケットブースター「SRB-3」の本数、衛星フェアリングのサイズを選べるようになっている。
機体形態は「H3-⚪︎▲×」と表される。
⚪︎:メインエンジン基数(2・3基)
▲:固体ロケットブースター本数(0・2・4本)
×:フェアリングのサイズ(W:ワイド、L:ロング、S:ショート)
(例)前回のH3ロケット8号機の機体形態は「H3-22S」

搭載衛星に合わせてロケットの形態を選べる(画像:JAXA)
H3ロケットの打ち上げニュースでは、メインエンジンと固体ロケットブースタの組み合わせ(⚪︎▲部分)に注目して「24形態」「22形態」「30形態」と呼ばれることが多い。
【30形態】
構成:LE-9エンジン 3基 + SRB-3→0本
概要:固体ロケットブースターを使用せず、3基の液体エンジンのみで離昇する形態。主に小型衛星に対応し、打ち上げコストを抑えることに特化している。
【22形態】
構成:LE-9エンジン 2基 + SRB-3→2本
概要:標準的な構成の形態。
【24形態】
構成:LE-9エンジン 2基 + SRB-3→4本
概要:固体ロケットブースターを4本装着し、H3ファミリー中最大の推力を誇る最強形態。重い衛星や大型の宇宙ステーション補給機などの打ち上げを担う。
H3ロケット6号機は、H3ファミリーのうち、一番輸送能力が低い代わりに一番打ち上げが低コストなのが特長の「30形態」を採用。日本の主力ロケットとしては初めて実施される形態であるため、試験機として、主衛星として性能確認用ペイロード(ダミー)を、副衛星として6基の小型衛星を搭載して打ち上げられ、所定の軌道への投入に成功したという。

液体燃料エンジンのみの構成なので、白煙が発生せずゆっくりと上昇していった。(画像:JAXA)
なお、2025年12月に実施された前回の打ち上げでは、第2段エンジンの燃焼に異常が発生し、搭載衛星「みちびき5号機」の軌道投入に失敗。その後、JAXAは原因究明と対策に取り組み、約半年で運用再開にこぎつけた。
こうした背景もあって、今回の打ち上げは、単なる低コストな打ち上げ技術の検証だけでなく、日本のロケット技術に対する不安を払拭できるかという面で世界中から大きな注目を集めていた。成功により、日本の宇宙技術への信頼回復と宇宙立国としての再起に向けて大きな一歩を踏み出したと言えるのではないだろうか。
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