2025年7月30日から8月1日にかけて行われた宇宙ビジネスの展示会「SPEXA」において、日本の建設会社 安藤・間(安藤ハザマ)が挑戦する宇宙事業構想についての展示が行われていた。ここでは同社が推進する「月面建設」について紹介しよう。
月の地下洞窟を利用し、安全な空間を構築するルナ・ジオフロント構想
ルナ・ジオフロント構想は「人類が長期的に安心して活動できる空間を月の地下に構築するコンセプト」。ルナは月を、ジオフロントは地下空間を利用した人類の活動の最前線を意味しており、2045年の利用開始を目指して開発が進められる予定だ。
同構想のカギを握るのが、過去月で火山活動が活発だった頃、溶岩流によって形成されたと考えられている地下空洞「溶岩チューブ」だ。微小隕石の衝突や、放射線被ばくに対するシェルターになることや、空洞内部は温度がほぼ一定(約−20度)であることから、月面基地の候補地として期待されている。

月の地下にある溶岩洞を活用して、地下基地を建設するプラン。
計画では、ステップ1「探査」で地下空間の形状・岩質の測定、最適な場所の選定を行い、ステップ2「施工」ではトンネル施工技術を応用した溶岩チューブの整形・補強を実施。ステップ3「維持管理」では地下空間の常時モニタリングにより崩落や漏洩などの予兆を早期検知し、迅速な対応で安全性を確保し続けて、居住空間・研究施設・資材保管場所など幅広い用途に使える環境が提供される。
安藤ハザマの取り組みは、日本の高い土木技術を宇宙に応用する新たな試みであり、今後の展開にも注目していきたい。



