2025年7月22日、JR西日本は初島駅の新駅舎を供用開始した。同社によると、建設用3Dプリンターを活用して建設された世界初の鉄道駅舎とされており、注目を集めている。

終電後から翌日始発までに設置が完了する「タイパ」が魅力

JR西日本、JR西日本イノベーションズ、セレンディクスの3社は、老朽化した木造等の駅舎の建替えにともない、新たな試みとして、建設用3Dプリンターを活用した駅舎建設プロジェクトの実現に向けて検討を進めてきた。

今回の初島駅(和歌山県有田市)建て替えは同プロジェクトの第1弾として実施され、他駅への展開も含めコスト効果や工期などを検証していくとしている。

新駅舎は10平方メートル弱の建物(高さ2.6m、幅6.3m、奥行2.1m)で、建物の基礎部分を含めた外形は最新の3Dプリンター技術を用いて出力したパーツに、鉄筋・コンクリート充填といった必要な処理を行った上で、現地組み立てが行われた。

建物には、2人掛けのベンチや券売機、簡易ICカード改札機が設置。壁面には地元特産品である「みかん」と「たちうお」をモチーフにした装飾が施され、地域の特色を反映したデザインとなっている。

画像: 2025年7月7日時点(供用開始前)の駅舎のようす。ここにICカード改札機が設置される。

2025年7月7日時点(供用開始前)の駅舎のようす。ここにICカード改札機が設置される。

JR西日本によると世界初となる「鉄道駅舎」における3Dプリンターの活用事例だという。この技術を用いることで、従来の建設方法では実現が難しい形状やデザインでの設計が可能となり、効率的な建設を実現することができる。

初島駅舎は非常にコンパクトなつくりで、必要最低限の大きさの駅舎(待合所)として運用される。第2弾、第3弾として他駅で展開される際は、もっと大きなサイズの駅舎に挑戦する可能性もあるため、今後の耐久性検証にも期待したいところである。

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