海外資本の民間ロケットが北海道大樹町から打ち上げられた
北海道スペースポート(HOSPO)は、2021年4月に大樹町で本格稼働した商業宇宙港で、民間にひらかれた施設だ。大樹町は東と南の海に面して幅広い軌道傾斜角へのアクセスしやすいほか、海上航路や航空路との干渉が少ないことも利点のひとつ。打ち上げ時の安全性やスケジュール調整がしやすいといった地理的優位性があることから、宇宙港の適地として、40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきた。
2022年度には、小型人工衛星打上げ用のロケット射場「Launch Complex 1(LC1)」の建設に着手し、北海道スペースポートを核とした宇宙版シリコンバレーの形成を目指しているという。

北海道スペースポートの将来予想図。
一方、jtSPACEは台湾のロケット開発企業tiSPACE(Taiwan Innovative Space Inc.)グループの日本法人で、固体燃料(合成ゴム)×酸化剤(亜酸化窒素)のハイブリッド方式を採用した2段式サブオービタルロケット「VP01」を開発している。
※準軌道(サブオービタル)飛行:第一宇宙速度(地球に落下せずに周回飛行する最低速度)を超えず、宇宙空間到達後、地球に戻ってくる飛行形態。弾道飛行とも呼ばれる。
今回の初飛行では、その初号機を高度100km以上の宇宙空間まで飛行させ、ロケットの全システムを動作検証し、人工衛星を搭載可能な軌道投入ロケットの開発に役立てる狙いがあった。

「VP01」は、2段式のロケット。燃料は固体燃料の合成ゴム、酸化剤の亜酸化窒素(N2O)によるハイブリッド方式を採用している。
打ち上げは2025年7月12日に行われ、jtSPACEによる打上げ後の解析によれば、VP01は高度4kmに到達(速報値)し、ランチャーの機能、ロケットシステムの一部の機能(分離機能、2段目再点火機能など)の動作が検証されたという。
ロケット2段目は分離後、ミッションを遂行できないと判断されて飛行停止措置が取られ、射点から北1km未満の位置にある当縁川付近の警戒区域内の町有地に落下。ロケットの1段目は現在捜索中とのことで、発見され次第jtSPACEによる詳細な調査が行われる予定だ。
【打上げの概要(速報値)】
打上げ日時:2025年7月12日(土)11:40
打上げ場所:北海道スペースポート Launch Complex 1 - Launch Pad 12(LC1-LP12)
機体:サブオービタルロケット VP01
打上げ方位角:東南東
打上げ高度:高度4km
打上げ時の天候:晴れ
【ロケットの概要】
名称:2段式サブオービタルロケット「VP01」
全長:12m
直径:0.6m
重量:1.4t
エンジン:固体燃料の合成ゴム、酸化剤の亜酸化窒素(N2O)によるハイブリッド方式
推力:第一段6500kgf、第二段1100kgf
予測最高高度:約100km




