2025年4月16日、将来宇宙輸送システム(ISC)は、液体燃料ロケットエンジンの燃焼試験に成功したと発表した。同社によると、国内民間企業の液体メタンエンジン燃焼試験成功事例としては、4社目だという。
日本発の再使用型有人ロケットは実用化できるか
2022年に創業した日本の宇宙スタートアップ「将来宇宙輸送システム(ISC)」は、単段式の再使用可能な宇宙往還プロジェクト「ASCAプロジェクト」を立ち上げ、現在離着陸試験用ロケット「ASCA hopper(アスカ ホッパー)」の開発に取り組んでいる。

飛行試験用ロケット「アスカ ホッパー」。
「アスカ ホッパー」ではロケットエンジンの燃焼、機体の離着陸、再使用に必要な点検整備の3要素がチェックされることになっているが、今回は、そのうちのロケットエンジン燃焼に成功したと発表された。同エンジンは、推進剤に液体メタン、酸化剤に液体酸素を用いる液体燃料ロケットエンジンで、燃焼時間8.3秒、推力4.3kNを達成。

エンジンテストのようす。通常メタンの炎色は青色だが、燃焼器内の断熱材の影響でオレンジ色になっている。
同社によると、液体メタンエンジンの燃焼試験成功は国内の民間企業で4社目とのことで、試験の成果は小型衛星打上げ機「ASCA 1」や有人宇宙輸送機「ASCA 2」に向けた再使用型ロケットの開発に活かされていくそうだ。
将来的には、宇宙空間への輸送だけでなく、地球上の2地点間高速輸送にも用いられる機体となることも目標に掲げられている。
「宇宙への輸送」と「宇宙空間を経由した高速輸送」をどこまで低コストで実現できるのか、今後の展開にも期待したいところである。
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