2025年4月9日、EMS(電子機器受託製造)の最大手として知られる台湾のホンハイ(鴻海精密工業/英通称:FOXCONN)が、EV事業戦略の説明会を東京都内で開催した。2027年度までにバスや乗用車など複数のEVを日本に投入するほか、開発・生産領域における日本メーカーからの受託や協業に意欲を示した。日本での事業拡大をめざす、新興EVメーカー「ホンハイ」の真意を探ってみた。

EMSの巨人が選んだ、既存の自動車メーカーとは異なるアプローチ

台湾に拠点を置くホンハイの創業は1974年。当初は家電用プラスチック部品の生産を手掛けていたが、1980年代前半に始まったパソコンブームの波に乗って基板やコネクタの製造を手掛けて急成長を遂げた。iPhoneの受託生産を一手に引き受けるなど、EMS業界では世界最大手の巨大企業であり、欧米では「FOXCONN(フォックスコン)」の通称で知られている。2016年にはシャープを傘下に収めたことで日本でも注目を浴びた。

同社がEV事業への参入宣言したのは2020年10月のこと。「MIH(Mobility in Harmony)」というコンセプトを打ち出し、ソフトウエアからハードウエアの領域まで世界中から参加企業を募って、それぞれの得意分野を互いに供出し合う、まったく新しいEV開発の仕組みを構築することを発表している。「手の内化」にこだわる自動車メーカーが多いなか、ホンハイはそれぞれが得意分野を持ち寄ることで、スピーディかつローコストでEVの開発を行うことを打ち出した。

そのパートナーにも、錚々たる顔ぶれが揃う。エヌビディア、グーグル、マイクロソフト、ZF、シーメンス、さらにデザインはピニンファリーナほか多士済々。そして、世界中のソフトウエア・エンジニアたちも、MIHのコンソーシアムに参加している。

2021年には自社EVブランド「FOXTRON」を発表し、以後、その名を冠したコンセプトカーシリーズを発表し続けている。現在までのわずか4年間で9車種ものEVが開発・発表されており、一部車種の市販も開始された。そのスピード感たるや、SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウエア優先のクルマ)のメリットを最大限に活用しているとも言えるだろう。

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