2025年4月1日、岩谷技研はガス気球による宇宙遊覧事業化(※)プロジェクト「OPEN UNIVERSE PROJECT」に用いる商用第1号機の名称を「かざぶね」に決定したと発表した。※実際には宇宙ではなく成層圏までの飛行である。

公募によって気球のネーミングを決定

岩谷技研(イワヤギケン)は、北海道江別市にある航空スタートアップで、誰でも気軽に宇宙を擬似体験できる社会を目指して、ガス気球による宇宙遊覧事業化プロジェクト「OPEN UNIVERSE PROJECT(宇宙の民主化プロジェクト)」を進めている。

今回は、その商用第1号機の名称を決める公募キャンペーンの結果を公表。寄せられた合計4983件の案の中から「かざぶね」というネーミングが採用されたそうだ。

画像: 特設サイトからの応募は4589件、郵送での応募が394件で、合計5000件ほど寄せられたという。

特設サイトからの応募は4589件、郵送での応募が394件で、合計5000件ほど寄せられたという。

名称発案者の「りょう」さんは、ネーミング理由について、江戸時代のオランダ学者が気球のことを風船と訳しており、本来の「風船」はおもちゃではなく人を乗せて空を飛ぶものであるということを教えたいという気持ちを込めた、としている。

今後、実際に打ち上げられる第1号機の機体(キャビン)へ印字されるほか、 公式ネーミングとして以後の各種広報・イベントなどでの情報発信に使用されることになる。

2025年は庶民にとっての「宇宙体験元年」になるかも

岩谷技研は、誰もが宇宙遊覧をできる社会を目指して、高高度ガス気球による成層圏遊覧飛行(高度18kmから25kmを想定)を商用サービスとして提供するプロジェクト「OPEN UNIVERSE PROJECT(オープン・ユニバース・プロジェクト)」を進行中で、JTBやアサヒグループ、日本航空が参画している。

同社によると、実現すれば気球での成層圏への商用フライトとしては世界初とのことで、気軽に擬似宇宙飛行体験ができるアトラクションとして注目を集めている。

画像: 宇宙空間には到達できないので、あくまで擬似的ではあるものの「宇宙」要素を体感できる。

宇宙空間には到達できないので、あくまで擬似的ではあるものの「宇宙」要素を体感できる。

なお、成層圏(地上10〜50km)までの上昇となるため、正確には宇宙空間(一般的には地上100kmより上空)に到達することはない。

それでも、従来よりも手軽に宇宙旅行を体験できるというメリットがある。ロケットで行く宇宙飛行士は身体基準や特別な訓練が必要だが、気球による飛行だと緩やかに上昇・下降するため、特別な準備を行っていない一般人でも参加できる。それでいながら、実際に宇宙空間に行ったのと同様に、地球の丸さや宇宙の暗さなどを体験できる、という利点があるのだ。

画像: 気球内は気温・気圧が保たれるため、宇宙服不要で誰でも気軽に搭乗できる。

気球内は気温・気圧が保たれるため、宇宙服不要で誰でも気軽に搭乗できる。

また現段階において、ロケットを用いた宇宙旅行は数分間の滞在で5000万円ほどと、旅行産業における最上級レジャーだといわれているが、「かざぶね」による宇宙体験は低コスト、かつ長時間楽しめるというアドバンテージも含めると、今後は誰もが気軽に、そして比較的安価に「宇宙っぽいことを体験できるサービス」として裾野の広いアトラクションに発展していくことに期待したい。

まずは2025年6月以降に予定されている商用第1号機打ち上げ。2025年は誰もが参加できる(擬似)宇宙旅行元年となるのだろうか。

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