普通自動車免許で運転可能な「トライク」と呼ばれる3輪モビリティは、クルマとバイクのいいとこ取りが可能なモビリティとして現在注目を集めている。今回はVECTRIX JAPANが販売する宅配ドライバー向け小型商用3輪EV「I-Cargo(アイカーゴ)」に試乗し、その使用感をレビューしてみた。

原付一種バイクの10倍パワフルな「倒れないバイク」

I-Cargoは定格出力3kWのモーターを2個搭載して、原付一種バイクの10倍となる合計6kWの出力を発生する。バイクでいえば軽二輪(250cc)のパワーに相当するため、スロットルの操作を慎重に行うことで積荷にも優しい運転ができるだろう。

画像: 隣の商用バンとの比較するといかに小さな車体であるかお分かりいただけるだろう。

隣の商用バンとの比較するといかに小さな車体であるかお分かりいただけるだろう。

また、全長約2.1mというコンパクトなボディ、そして最小回転半径は一般的な軽自動車の約4.8mより大幅に小さな3mを実現、四輪のクルマでは通れないような道をスイスイ進むなど活躍することだろう。しかもトランスミッションを必要としないEVであるためバック(後退)機能を搭載しており、縦列駐車や狭い場所での切り返しを簡単に行える。

ちなみにトライクというカテゴリーは、クルマと同じようにカーブを曲がるときも停車しているときもボディが傾かない「完全自立型の車体構造」をしており、こうした構造はもちろんI-Cargoも同様。そのため、ハンドルバーでの操作方法にさえ慣れてしまえば、バイクを運転したことがない人でも容易に乗りこなすことができるはずだ。

画像: ルームミラーはタッチパネルのデジタルミラー方式で、フロントビュー・リアビューモードを切り替え可能だ。

ルームミラーはタッチパネルのデジタルミラー方式で、フロントビュー・リアビューモードを切り替え可能だ。

ただし、車道から側道に入るシチュエーションをはじめとした段差を乗り越えようとするときは、車体が傾斜しないことを前提に、なるべく段差と直角に進入するなど、一般的なクルマよりも繊細な運転作法が要求されるシーンもある。

車体後部にある収納ボックス(ラージボックス)は、オプションで棚板の設置位置指定や追加、ラッピング、両開き仕様などを選択できる。さらに、ミドルボックスやカゴタイプなどさまざまなバリエーションを今後追加していく予定だといい、利用シーンを拡大する汎用性の強化に期待したい。

画像: 標準装備のラージボックス。オプションアイテムの追加や別のボックスの設置など、柔軟なカスタムオーダーに対応している。

標準装備のラージボックス。オプションアイテムの追加や別のボックスの設置など、柔軟なカスタムオーダーに対応している。

原付一種のバイクやミニカーも、トライクと同様に普通自動車免許を持っていれば運転できるモビリティだが、その中でも原付一種は法律で最高速度が30km/hに制限されており、一方でミニカーは車両重量と原動機のパワーの都合上、法定速度の60km/hを実際に出すのは難しい。

しかし、トライクでは法律上もエンジンパワーの面でも余裕を持って60km/h出せるため、「原付一種(ミニカー)以上、トラック未満の業務用車両」として、そして安価に導入できるEVとして注目を集めるかもしれない。

そうなると、家庭用電源対応の着脱式バッテリーを採用し、普通自動車免許で運転可能な小型商用EVというユニークな「I-Cargo」は、バイクに乗ったことがない人でも簡単に扱える3輪自動車として、さまざまな配送業務に利用できる特長を活かして普及していく可能性は大いにあるだろう。

【主要諸元 I-Cargo】
全長×全幅×全高       :2130×1020×1815mm
車両重量          :280kg
最高出力           :6.5kW
航続距離           :35km(バッテリー1個)、70km(バッテリー2個)
駆動方式           :RWD
タイヤサイズ         :前120/70-14、後135/80-13
車両価格          :108万7900円(バッテリー別)
バッテリー価格       :21万7800円(1個)

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