2025年2月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は種子島宇宙センターからH3ロケット5号機による「みちびき6号機」の打ち上げを行い、分離に成功したと発表した。これでH3ロケットは2号機から4回連続の打ち上げ成功となった。

次世代の国産主力ロケットH3で宇宙立国を目指す

現在の国産主力ロケットは、2001年に試験機1号機が打ち上げられた「H-IIA(エイチ・ツー・エー)」ロケットで、次回打ち上げられる50号機をもって運用が終了されることになっている。

画像: 従来の基幹ロケット「H-IIA」は現在打ち上げ待機中の50号機をもって運用が終了される。(画像:JAXA)

従来の基幹ロケット「H-IIA」は現在打ち上げ待機中の50号機をもって運用が終了される。(画像:JAXA)

一方、次期主力ロケット「H3」は、2023年から試験機の運用を、2024年からは量産機の運用が開始された最新鋭の新型ロケットだ。従来の「H-IIA」からさらに打ち上げコストの削減と打ち上げ能力アップを両立し、さまざまなミッションに柔軟に利用可能で信頼性の高い「使いやすい」ロケットとして開発された。

画像: H3試験機1号機は地球観測衛星の「だいち3号」も搭載していたが、電気系統のトラブルで打ち上げに失敗した。(画像:JAXA)

H3試験機1号機は地球観測衛星の「だいち3号」も搭載していたが、電気系統のトラブルで打ち上げに失敗した。(画像:JAXA)

2023年3月7日の試験機1号機打ち上げでは、電気系統のトラブルにより第2段エンジンが着火せず失敗に終わったものの、この時に徹底した原因究明を行い、教訓を得られたこともあって、2号機から今回の5号機まで4回連続で打ち上げに成功している。

国産の準天頂衛星「みちびき」が果たす役割と重要性

また、今回打ち上げられた準天頂衛星「みちびき」6号機は、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムを構成する重要な衛星である。

衛星測位システム(GNSS)は、衛星からの電波によって現在の位置情報を算出するシステムのことで、アメリカのGPSが有名であるため、みちびきのことを日本版GPSと呼ぶこともある。

衛星測位には4機以上の衛星からの電波受信が必要だが、GPS衛星だけでは都市部や山間部ではビルや樹木などに電波が遮られてしまうことにより、位置情報が安定的に得られないことがあったため、海外の衛星に頼らず日本独自の衛星で補完するために開発されたのが「みちびき」というわけなのだ。

画像: 準天頂衛星「みちびき」の7機体制が確立すると、海外のGNSSに頼らず国産衛星のみで測位可能になる。(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

準天頂衛星「みちびき」の7機体制が確立すると、海外のGNSSに頼らず国産衛星のみで測位可能になる。(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

2018年11月から4機体制での運用がはじまり、うち3機はアジア・オセアニア地域で常時受信可能な状態になっているが、1機は他国の測位衛星からの電波情報を必要としている。

完全に日本独自の測位衛星のみで運用するには、日本上空を4機以上のみちびき衛星が常に滞空していなくてはならない。これを実現するためには7機体制に増強する必要があり、今回の「みちびき6号機」はそのための追加衛星第1弾として打ち上げが実施された。

残りの追加衛星2機も2025年度中に打ち上げられる予定なので、近いうちに高精度で安定した測位システムの恩恵を受けられるようになるだろう。

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