「原付」は、16歳以上が無免許で乗れる「特定小型原付」と、排気量50cc以下(2025年4月からは排気量125cc以下かつ最高出力4kW以下に変更)の「原付一種」、排気量51〜125ccの「原付二種」の3つが存在する。本記事ではそれぞれの特徴と違いについて、わかりやすく簡潔にお伝えしよう。
※この記事はウェブサイト「webオートバイ」で2025年1月29日に公開されたものを一部編集し転載しています。

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「特定小型原付」「原付一種」「原付二種」それぞれの特徴

特定小型原付原付一種原付二種
法定速度(一般道)時速20km時速30km時速60km
二人乗り不可不可
二段階右折全ての交差点で必要必要不要
高速道路の走行不可不可不可
ヘルメット着用努力義務義務義務

特定小型原付16歳以上が免許不要で乗れるので、運転免許を持たない高校生から免許返納したシニア層まで幅広いユーザーが利用できるモビリティ。電動キックボードやシニアカーのような製品など、さまざまなモデルが登場している今ホットな車両ジャンルである。

原付一種普通自動車免許でも運転できることから、もっとも身近なバイクとして親しまれてきたが、現在(2025年2月時点)はこれまでの基準「50cc以下」から新基準「125cc以下かつ最高出力4kW以下」への移行期ということもあり、今後のモデルラインナップがどうなっていくのか注目を集めている車両ジャンルだ。

原付二種は特定小型原付や原付一種にあった二段階右折をはじめとする特殊な交通ルールから解放され、本格的なバイクとしての側面を深めた二輪車。高速道路や自動車専用道路は走行できないので、一般道の走行に特化したバイクとして存在している車両ジャンルといえるだろう。

今回紹介する3車両区分の特徴をひと言で表すと・・・

「特定小型原付」歩道走行ができない代わりに免許不要で漕がずに乗れる自転車のような存在、「原付一種」普通自動車免許に自動付帯するため気軽に利用できるバイク「原付二種」は原付一種の複雑な交通ルールの足かせから解放された一般道特化のバイクと言えるだろう。

以下では、上で紹介した3車両区分を詳しく解説するとともに、その交通ルールを確認する。

「特定小型原付」は16歳以上なら免許なしで運転できる

特定小型原付原付一種原付二種
法定速度(一般道)時速20km時速30km時速60km
二人乗り不可不可
二段階右折全ての交差点で必要必要不要
高速道路の走行不可不可不可
ヘルメット着用努力義務義務義務

特定小型原付(正式名称は「特定小型原動機付自転車」)は、①普通自転車サイズ(全長190cm・全幅60cm以下)②最高速度20km/h以下③電動モビリティ という3つの条件を満たした車両である。

2023年7月に、原付一種(エンジン車:50cc以下/EV:定格出力0.6kW以下)の下位に新設された、 「自転車とほぼ同じ交通ルールで走行可能な電動車両」 として、16歳以上が免許不要で利用できる点や車輪数の制約がないという特徴を活かし、電動キックボード型や電動バイク型、4輪タイプなどさまざまな製品が登場している。

画像: 特定小型原付は、車輪数の制約がないため、キックボード型、3輪タイプ、シニアカースタイルなど、車両形状がバラエティに富んでいるのも特徴だ。画像左下はプロトタイプで未発売。

特定小型原付は、車輪数の制約がないため、キックボード型、3輪タイプ、シニアカースタイルなど、車両形状がバラエティに富んでいるのも特徴だ。画像左下はプロトタイプで未発売。

基本的な交通ルールは自転車と同様であり、ヘルメットについても罰則規定のない努力義務に設定されているが、特定小型原付の走行可能な区域は車道に限定されている点に注意が必要だ。
※ちなみに警察庁のデータによると自転車での交通事故では、ヘルメット非着用だったときの致死率は着用時の約1.9倍高いという結果が明らかになっている。ヘルメットを被ることで安全性が高まることは間違いないので、必ず着用しよう。

ただし、歩道走行モードを搭載したモデル(=特例特定小型原動機付自転車)は例外的に、普通自転車が通行可能な歩道を、歩道走行モードに切り替えた上で、最高速度6km/hにて走行できるなど、細かい点で普通自転車と異なる交通ルールが適用されているため、利用前に交通ルールをよく確認してから走行しよう。

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画像: smart-mobility.jp
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「原付一種」は原付免許が必要、普通自動車免許でも運転可能

特定小型原付原付一種原付二種
法定速度(一般道)時速20km時速30km時速60km
二人乗り不可不可
二段階右折全ての交差点で必要必要不要
高速道路の走行不可不可不可
ヘルメット着用努力義務義務義務

原付以上の免許を取得、または普通自動車免許ユーザーでも利用可能な第一種原動機付自転車(原付一種)は、排気量50cc以下の自動二輪車(バイク)のことを指しており、二段階右折最高速度が30km/hに制限されるなど、特殊な交通ルールが適用される二輪車である。

また、ヘルメット着用が罰則ありの義務規定になっている点も特定小型原付との大きな違いであり、国が定めた安全基準に適合したことを示す「PSC」マークが入っていない製品は法律で販売が禁止されている。そのほかにも製品安全協会が定めた認定基準に適合した製品を示す「SG」マークが入っていると製品の欠陥による人身事故に対して損害が賠償されるので、必ずマークがあることを確認しよう。

なお、これまで二輪車の車両区分は排気量別に分類されていたが、この原付一種についてはその基準が見直され、2025年4月以降は排気量125cc以下、最高出力4kW以下の自動二輪車も同区分に属する車両となる。

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どうして原付一種の区分が見直されたの?

画像: (左)ホンダ「タクト」、(右)ヤマハ「ビーノ」。

(左)ホンダ「タクト」、(右)ヤマハ「ビーノ」。

従来の50ccエンジンモデルでは、小型エンジンゆえに触媒(排出ガスに含まれる有害物質を分解・浄化して排出するシステムで、キャタライザーとも呼ばれる)が温められるまで時間がかかり、触媒効果を発揮する前に2025年11月以降の排出ガス規制新基準の規制値を超えてしまう。そのため、販売継続はできないという「原付どうするのか問題」が課題となっていた。

現状の販売台数では、たとえ新基準に合わせた50ccモデルを発売しても、その開発コストを利益で吸収できる見込みが立たないこともあり、原付一種の基準そのものが見直された。その結果、新排出基準を満たす125ccエンジン車の出力を、原付一種同等水準まで下げたモデルについても、新しく「原付一種」として販売できるようになったという経緯がある。

ちなみに排気量という概念が存在しない電動バイクについては、定格出力によって車両区分が設定されており、排出ガス規制とも関係ないことから、今後も「電動の原付一種=定格出力0.6kW」という区分が維持される見込みだ。

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「原付二種」は小型二輪免許以上が必要だが、利便性が大幅アップ

特定小型原付原付一種原付二種
法定速度(一般道)時速20km時速30km時速60km
二人乗り不可不可
二段階右折全ての交差点で必要必要不要
高速道路の走行不可不可不可
ヘルメット着用努力義務義務義務

第二種原動機付自転車(原付二種)とは、エンジン車なら排気量51cc超〜125cc以下電動モデルなら定格出力0.6kW超〜1.0kW以下の二輪車両区分。この区分から上の二輪車は、いわゆる原付免許(普通自動車免許付帯も含む)では運転できない代わりに、交通ルールの制約が多かった原付一種までとは異なり、 最高速度60km/hが解禁、二人乗り可能二段階右折不要など、大幅にバイクとしての利便性が上がることがメリットといえるだろう。免許は「小型限定普通二輪免許」以上の二輪免許が必要となる。

ただし、高速道路や自動車専用道路を走行できないので、原動機付自転車という名前のとおり、街乗りに適した便利な足バイクという立ち位置の二輪車である。

またすべての原付二種車両が二人乗りできるわけではない。ホンダの「モンキー125」「ベンリィ110」など乗車定員が1名に設定されたモデルもあるので、その点は購入時に注意が必要だ。

ヘルメット着用は、原付一種と同じく罰則ありの義務規定であるため、「PSC」マークと「SG」マークが入っていることをよく確認してから購入、着用しよう。

画像: カワサキ「Z125 プロ」(左)とスズキ「アドレス125」(右)。

カワサキ「Z125 プロ」(左)とスズキ「アドレス125」(右)。

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