2024年1月7日(現地時間)、トヨタ自動車の豊田章男会長は米国ラスベガスで開催された世界的な技術見本市「CES 2025」にて、近未来のモビリティテストコース「Toyota Woven City(以下、ウーブン・シティ)」の第1期工事完了を報告するとともに、2025年秋以降から実証実験を開始すると発表した。(タイトル画像:CES2025にて今秋より実証実験の開始を宣言)

「収益のためではない」と宣言。ウーブン・シティ実現に込めたトヨタの想い

ウーブン・シティは、いうなれば「未来のモビリティ社会のテストコース」である。自動車を作って売るだけでなく、人とモビリティの関わりを通じて、近未来になにができるのか。それを実証し、効果があれば実社会に取り入れていくための取り組みだ。豊田会長はCES2025で集まったメディアや関係者に向けて語りかけた。

「皆さんは『ウーブン・シティはトヨタに収益をもたらすのか』と考えているかもしれません。おそらく、そうはならないかもしれません。しかし、それで構いません。グローバル企業市民として、私たちの未来に投資し、トヨタが培ってきた知見や技術を他の人たちと共有し、地球と人々に幸せをもたらす新しいアイデアを支援する責任があると考えています。新しいアイデアで人々を幸せにする、それがウーブン・シティをつくった理由です」

画像: ウーブン・シティのプロジェクトは、60以上の国と地域から集まった2200人のチームメンバーが在籍するウーブン・バイ・トヨタが中心となって進めている。

ウーブン・シティのプロジェクトは、60以上の国と地域から集まった2200人のチームメンバーが在籍するウーブン・バイ・トヨタが中心となって進めている。

将来は「住んでみたい街」にランクイン? Kakezanが生み出す新たな価値

ゆえに、ウーブン・シティには、トヨタだけでなく異業種企業、起業家、クリエーター、学者、などさまざまな企業と人(=インベンター/Inventors)が参加する。そこで生み出されるアイデアやプロダクト、新しいサービスはウーブン・シティに暮らす人々が、「クルマのテストドライバーと同様に、実際に体験していただき、未来をともに紡いでいく大切な役割を担っていただきます(豊田会長)」という。

トヨタの強みと、自動車産業ではない業界の強みを組み合わせることで、1社や1人ではつくり出せない新しい価値や新しいプロダクト、新しいサービスの創出につなげる。これをトヨタは「掛け算による発明」と表現している。

現在までに参加が決まっているインベンターおよび実証テーマは以下のとおり。

・ダイキン工業:「花粉レス空間」や「パーソナライズされた機能的空間」に関する実証実験
・ダイドードリンコ:自動販売機を通じた新たな価値創造
・日清食品:新たな「食文化」創造に向けた食環境の構築とその環境が及ぼす影響の検証
・UCCジャパン:未来型カフェの運営を通じたコーヒーの潜在価値の実証
・増進会ホールディングス:データ活用による先進的な教育スタイル及び新しい学びの場の実現

ほかにも、すでに交渉が進んでいるENEOS、日本電信電話(NTT)、リンナイなど多彩な顔ぶれが揃い、さらに増えていくことが期待されている。また、スタートアップや企業家、大学・研究機関にも働きかけを進め、今夏にはその一環として「アクセラレータープログラム」の募集を開始する予定だ。

画像: 「掛け算=kakezan」からどんな答えが飛び出すのか楽しみだ。

「掛け算=kakezan」からどんな答えが飛び出すのか楽しみだ。

なお、Phase 1の住民はトヨタおよびその関係者を中心に、2025年秋以降に約360人(開始時点で100人程度)が居住予定。現在造成工事が進んでいるPhase 2も含め、最終的には全エリア2000人が居住して、「テストドライバー」として活動する。

さて、この近未来都市で多様なインベンターと住民は、どんなが「掛算による発明」を生み出していくのか。そして幸せの量産を目指すウーブン・シティは将来の「住んでみたい街」になるのか。今後の動向は大いに注目しておきたい。

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