2024年12月17日、タクシー配車アプリでお馴染みのGO株式会社、米自動運転タクシー大手のWaymo、そして日本交通株式会社の3社が東京都心で自動運転タクシーの実現可能性を探るテストを開始すると発表した。テストは2025年初頭から始まり、Waymoの自動運転技術「Waymo Driver」を搭載した車両を用いる。Waymoが海外でテスト走行を行うのは初めて。なお、商業サービスの開始時期に関しては言及されていない。

ジャガーI-PACEベースのロボタクシーが都心部で走行テスト

クロアチアのリマック、そしてお馴染みのテスラ・・・自動運転タクシー(以下、ロボタクシー)の話題に事欠かなかった2024年だったが、年の瀬も迫った12月17日にまたもやニュースが飛び込んできた。Alphabet傘下の米ロボタクシー大手の「Waymo」が、日本のタクシー配車アプリ大手の「GO株式会社」、そして日本のタクシー会社最大手「日本交通株式会社」と戦略的パートナーシップを締結して、2025年初頭よりデータ収集を中心としたテスト走行を開始すると発表したのだ。

Waymoは米ロボタクシー業界の草分けにして最大手であり、日本でも知る人ぞ知る存在だ。フェニックスやロサンゼルス、サンフランシスコで運行しており、2025年からマイアミでも運行開始、その後はオースティンやアトランタでもサービスインする計画。運行形態はいわゆる自動運転レベル4で、遠隔監視による無人運転で走行している。ライバルと目されていたGM系のCruise(クルーズ)社は去る12月10日にロボタクシー事業からの撤退を表明しており、米のロボタクシー業界は現状Waymoの圧倒的優勢となっている。

そんなWaymoが初の海外展開の場として選んだのは日本市場だった。その第1フェーズとして、2025年の初頭から自動運転技術「Waymo Driver」を搭載したジャガー I-PACEベースのロボタクシーで都心部の走行テストを開始する。

画像: Google社内の自動運転プロジェクトから分社化されて2016年に立ち上がったWaymo。「Waymo One」アプリを使ったロボタクシーを運営している。

Google社内の自動運転プロジェクトから分社化されて2016年に立ち上がったWaymo。「Waymo One」アプリを使ったロボタクシーを運営している。

ドライバー不足はすでに深刻、とはいえ商業サービス開始はまだ時間が必要か

プロジェクトはあくまで段階的に進めるとされており、今回はあくまで初期フェーズという位置づけだ。具体的には、日本交通のドライバーがWaymoの車両に乗車して、Waymo Driverの有効性を検証していく。東京都民にとってどのように役立ち、また都市の公共交通として有益な役割を果たせるのかどうか検証していく。

今回の戦略的パートナーシップ締結にあたり、3社の代表が発表したコメントは以下のとおり。

GO株式会社 中島 宏 代表取締役社長のコメント

「タクシーアプリ『GO』を提供するGOは、Waymoと日本交通の協力のもと、未来のモビリティ体験の実現にチャレンジできることを大変嬉しく思います。世界をリードする自動運転技術と東京のタクシーサービスとを戦略的に連携することで、引き続きGOは日本における交通課題および社会課題を解決する革新的なサービスを提供していきます」

Waymo テケドラ・マワカナ 共同CEO のコメント

「私たちのより安全な移動手段への取り組みが国境を越え、このたびWaymo Driverを日本に導入する運びとなることに胸を躍らせております。日本交通およびGOと協力して、東京の独自の移動ニーズを理解し、この街の移動の明日を形作るための土台作りに取り組んでまいります」

日本交通株式会社 若林泰治 代表取締役社長のコメント

「Waymo、GOと一緒に『移動の未来』を構築できることを大変光栄に思います。日本交通は96年にわたる運行ノウハウを惜しみなく活かし、東京の皆さまに自動運転タクシーを提供できるよう取り組みを進めてまいります。これは次の世代への貢献であり、自動運転技術の進展が日本におけるタクシー産業を発展させ、より安全で質の高い『移動インフラ』の実現につながると期待しています」

画像: 日本でロボタクシーを運行するには解決すべき課題が残るが、政府のデジタル社会推進会議内に新たにモビリティワーキンググループが立ち上がり法整備も加速しつつある。

日本でロボタクシーを運行するには解決すべき課題が残るが、政府のデジタル社会推進会議内に新たにモビリティワーキンググループが立ち上がり法整備も加速しつつある。

運輸、バスほかで活躍する日本の職業ドライバーの数はすでに減少の一途をたどっている。タクシー業界も同様で、有人運転の限界は見えてきた。3社は自動運転タクシーの導入を加速させ、人口減少や労働力不足の中での地域の移動手段改善といった社会的課題の解決を目指していくという共通の目標に向かって走り始めた。商業サービスの実現にはまだ少々時間がかかりそうだが、ロボタクシーが少子高齢化社会の新たなモビリティサービスとして早期に実現することに期待したい。

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