往年の名車E-typeを再定義した芸術的なコンセプトモデル「TYPE 00」
EV専業ブランドへの転身を発表したのは2021年2月のこと。そして去る2024年11月21日には、新たなブランドロゴとして大文字と小文字が同居する「JaGUar」を発表するとともにエンブレム「Jr」、そして新デザインのマスコット「リーパー」も公表されている。
「Copy Nothing」というブランドのアイデンティティを再解釈した斬新なコンセプトカー「TYPE 00」は、一見すると大胆でいかにもコンセプトカー然としているが、よく見れば1961年に登場したE-typeの再解釈がいたるところに散りばめられていることがわかる。あまりに長いボンネットフード、そこから続くスイープしたルーフラインとファストバックのスタイリングは、紛れもなくE-typeのDNAを受け継いでいる。
合理性だけを追求するならば、EV化によってボンネット長をミニマムに抑えるのが筋だが、新たなジャガーが提供するのはそういった価値観ではない。いわば究極のラグジュアリーであり、世に数多あるプレミアムブランドとは一線を画すジャガー本来のモダニズムである。
ゆえに最初のお披露目の場をオートショーではなく、著名な芸術祭である「マイアミ・アート・ウィーク」に選んだのも道理だ。TYPE 00は、単にコンセプトモデルにとどまらず芸術作品でもあるのだ。
新世代の量産車は2025年後半に発表する4ドアGT
今回は新生ジャガーブランドの方向性を具現化したピュアコンセプトであり、今後登場する量産モデルに関するインフォメーションは限定的だ。具体的に言及されたのは・・・
・新生ジャガー初の量産モデルとして、英国内で生産される4ドアGTを2025年後半に発表
・4ドアGTは新開発ジャガーエレクトリックアーキテクチャー(JEA)を採用する最初クルマ
・航続距離はWLTPモードで最大770km、EPAモード(米国基準)で692kmを目標とする
・15分間の急速充電で321kmの航続距離を回復する
一方、量産モデルにどこまで採用されるのかは不明ながら、インフォテインメントやADAS(先進運転支援システム)/AD(自動運転)を暗示する情報も発表されている。それぞれが実際にどのように機能するのかは不明ながら、TYPE 00には以下のような装備が採用されていた。
・オンデマンド開閉式のディスプレイスクリーン×2
・ガラスのないテールゲート(リアウインドー)
・ボディサイドに設けられたリーパーのインゴットにカメラを内蔵
・従来のサイドミラーに代わるクリアサイドディスプレイ
あと1年足らずで量産モデルが発表される割に情報は少ないが、すでに量産モデル(=4ドアGT)の走行テスト風景も公開されており、開発が順調に進んでいることが伺われる。
今回の出展で、新生ジャガーのめざす方向はなんとなく理解できたような気がする。最新の機能はもちろんだが、付加価値として高品位なアート的要素に満ちた本物のラグジュアリー。権威や既成概念にとらわれない新たなライフスタイルブランドとしてスタートを切る新生ジャガーは、高級車の概念を覆すかもしれない。