2024年11月1日、道路交通法が改正されて、自転車の運転中にスマートフォン等を使用するいわゆる「ながら運転」の罰則強化と、「自転車の酒気帯び運転」が罰則の対象に追加され、自動車の罰則と同じ水準になった。どちらの違反も、自転車運転者講習の受講対象で、とくに飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供したり、自転車を提供した者にも罰則が適用される点に注意が必要だ。

自転車運転中の「ながらスマホ」の罰則が厳罰化

自転車に乗っている際、停止している間を除き、スマホで通話したり画面を注視するいわゆる「ながらスマホ」の罰則が強化される。手持ちでなく車載ホルダーに取り付けたスマホの画面を注視するのもダメなので注意が必要だ。今までは5万円以下の罰金だったのが、自動車でのながらスマホと同じ罰則内容が適用されることになった。

【ながらスマホの適用対象】
自転車運転中にスマホで通話すること(ハンズフリー装置を併用する場合等を除く)。
自転車運転中にスマホに表示された画面を注視すること。
※いずれも自転車が停止しているときを除く。
【罰則内容】
・自転車運転中に「ながらスマホ」をした場合
6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金
・自転車運転中の「ながらスマホ」により交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

自転車の酒気帯び運転とそのほう助に対する罰則も追加

従来も自転車の飲酒運転は禁止されており、「酒酔い運転」レベル(アルコールの影響で正常な運転ができない状態)であれば処罰されていたが、今回の道路交通法改正でより厳格な「酒気帯び運転」(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転すること)も罰則の対象だ。

また、自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供したり、自転車を提供したりすることも「酒気帯び運転のほう助」として禁止されるので、自分だけでなく他人の飲酒運転にも注意を払わなくてはならない。

ちなみに、この飲酒運転に関する罰則も自動車での飲酒運転のものと同じ内容である。

【飲酒運転の適用対象】
酒気を帯びて自転車を運転すること。
自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供すること。
自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供すること。
自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗すること。
【罰則内容】
・酒気帯び運転(血液1mLにつき0.3mg以上または呼気1リットルにつき0.15mg以上のアルコールを身体に保有する状態で運転すること)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合
自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合
酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合
同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
※「酒気帯び運転」よりも酔いの程度がひどい「酒酔い運転」(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転)は、従来から罰則として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が規定されている。

自転車の交通違反者向け「自転車運転者講習」の対象に指定

信号無視や一時不停止など、道路交通法により定められた危険行為(自転車での悪質・危険な運転など)を3年以内に2回以上行った運転者は、「自転車運転者講習」というものを受講しなければならないが、今回の道路交通法改正では自転車の「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」もこの危険行為の対象に追加された。

【受講対象となる危険行為】
・信号無視
・通行禁止違反
・歩行者用道路における車両の義務違反
・通行区分違反
・路側帯通行時の歩行者の通行妨害
・遮断踏切立入り
・交差点安全進行義務違反など
・交差点優先車妨害
・環状交差点安全進行義務違反など
・指定場所一時不停止など
・歩道通行時の通行方法違反
・制動装置不良自転車運転
・安全運転義務違反
・妨害運転(いわゆるあおり運転)
・酒酔い運転
・ながらスマホ(New)
・酒気帯び運転(New)

対象者は、各都道府県の公安委員会から受講命令が出されるので、3カ月以内の指定された期間に講習を受ける必要があり、講習時間は3時間、講習手数料も6000円取られ、受講命令に従わない場合には5万円以下の罰金が科せられることになる。

自転車の運転に関する規定は年々厳罰化されてきているが、今回の法改正でも“自動車での違反と同じ内容が適用”されることからもわかるように、「自転車=公道を走る車両の一つである」という認識を持つことが強く求められている。

自転車ユーザーは、このタイミングで自転車の交通ルールを改めて把握し、普段からジェントルな運転を心がけて走行していただきたい。

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