スマホ1800台分の電気を運ぶことができる
EVジェネシスが開発中の小型3輪EV「3 RUOTA(スリー ルオータ)」は、折り曲げ可能なソーラーパネルをルーフ部分に搭載した、いわゆるソーラーカーだ。「ペロブスカイト太陽電池」により、太陽光発電による電力だけで1日に25〜30kmの走行ができる。距離によっては外部からの充電なしで維持することが可能なEVとして開発が進められている。
この「スリールオータ」を災害時の停電や孤立集落へ電気を届けられるモデルとして改良したのが今回発表された「小型EV電配車」だ。走行用バッテリーと電力供給用バッテリーを完全に分けており、電力を確実に届けることができる。
走行用バッテリー(64V・75Ah・4.8kWh)については、通常の「スリールオータ」が航続距離70kmであったところ、約2倍の150km走行可能にしている他、車内でスポットクーラーや家電製品も使えるようになっている。
また電力供給専用バッテリー(64V・90Ah・5.8kWh)は、走行用よりも1.2倍容量があり、スマートフォン600台分を充電可能で、乳幼児のための電気ポット、スポットクーラー、冬場の電気毛布など、さまざまな電気機器に電力供給できる。電配車にはこの電力供給用のバッテリーが最大で3個積載できるというので、スマホ1800台分の電力を一度に運べることになる。
なお、バッテリーはいずれも安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーで、充電器とともにCE、UN、FCC、MSDS、RoHSなどの安全基準を取得し、電気安全法に基づくPSEの安全試験にも合格している。また、IP67の防水性能を有しているため、豪雨の中でも双方向で給電・充電が可能である。
ちなみに、バッテリー自体にオン・オフのスイッチをつけることで、走行用と蓄電池用を選んで太陽光パネルから充電ができるようになっていることも大きな特徴だ。
開発元のEVジェネシスによると、3輪ソーラーカーである「スリールオータ」の車体を利用した理由は、平常時と災害時の両方で活用できるためだという。平常時は積載力に優れた3輪EV配達車として、災害時には電力を運ぶ電源車として利用できることで、普段から災害に備えることが可能になるのだ。
2025年には、トラックタイプの電配車も新たにリリースされるというので、平災両用車が災害への備えとして普及していくのか、今後の動向に注目である。