メジャープレイヤーを目指し順調にコマを進めるBYD
6月25日から受注が始まったBYDの上級EVセダン「SEAL(シール)」が好調なスタートを切っている。7月31日までのおよそ1カ月経過時点で累計受注台数は300台を超えているという。
日本では厳しいミディアムセダンカテゴリー、しかも車両価格は導入記念価格ながら495万円〜(RWDモデル)とライバルに比べコストパフォーマンスは高いものの、一般的な金銭感覚では決して安くはない買い物だ。それが初期受注とは言えこれだけの台数がさばけたのだから、順調な滑り出しと言えるだろう。なお、シールも合わせた国内の7月単月のBYD乗用車の受注台数は過去最高となる400台を超えたという。
ちなみに7月単月の輸入乗用車(テスラを除く外国メーカー)の新規登録台数は1万6230台。メルセデス・ベンツ(4082台)を筆頭に、BMW(2672台)、MINI(1386台)と上位3社はおなじみの顔触れだが、300台規模ではルノー、プジョー、シトロエン、フィアットなど、いわゆるイタフラブランドが肩を並べている。つまり、BYDは2022年7月に上陸発表してから、わずかな時間でお馴染みのブランドに肩を並べるほどに急成長している。
早くも2025年国内投入モデルの話題で盛り上がるSNS
それゆえ、今後の動向にも注目が集まっているようだ。7月上旬には、仮ナンバーを装着して軽微なカモフラージュが施された「シーライオン07(SeaLion07)」が国内で目撃され、その画像がSNSに投稿されて盛り上がっている。
シーライオン07は2023年11月に開催された広州モーターショーで初公開されたスタイリッシュなクーペSUV。現地では2024年5月から発売が始まったばかりだ。全長4830×全幅1925×全高1620mmとやや大柄ながら、シールのデザイン要素を採り入れながら、EVアーキテクチャーを「e-Platform3.0evo」に進化させた最新モデルだ。
もちろん、BYDジャパンから正式なインフォメーションは現時点で何もないが、SNS上で指摘されているように、この最新のEVが2025年上半期に日本へ上陸する可能性はかなり高そうである。
というのも、日本上陸時の会見で「新型車を毎年1車種以上、継続して導入する」ことが謳われている。さらに「2025年末までに全国で100カ所以上の実店舗を展開」する目標も掲げられている。
これらの当初計画を実現に向けて加速させるには、現在販売しているアット3(ATTO3)、ドルフィン(DOLPHIN)、そしてシールの3車種だけではいささか心許ない。よりブランドイメージを高めるべく、日本市場で人気が高いSUV、なかでも存在感のあるスタイリッシュなクーペSUVを本国発売からあまり時間をおかずに導入するという戦略はアリだろう。
量販車ユアンアップの投入でさらに成長が加速か
ちなみにスマートモビリティJP編集部では、2025年に国内導入されるのは欧州市場をターゲットに開発されたB/CセグメントのコンパクトSUV「ユアンアップ(YuanUp)」になるだろうと睨んでいた。こちらも2024年3月から中国国内で発売が開始されているが、ドルフィンと多くを共用しているため、日本への導入準備は比較的短時間で終了すると思われる。
というわけで、BYDにとって重要な年となる2025年には、「シーライオン07」と「ユアンアップ」の2台が投下されると予想する。ちなみに2025年前半には、BYDそしてシーライオン07にとって最大のライバルとなる「テスラ モデルY」が大幅なバージョンアップを受けて日本上陸の予定だ。レクサスRZや日産アリアなども巻き込み、市場がさらに活性化するかもしれない。