ライバルに勝ることを力ずくで証明する
スマホや家電でお馴染みのシャオミ(Xiaomi)が初めて発売したEV4ドアセダン「SU7」の販売が本国で好調だという。本年4月には7058台、5月が8630台、6月には1万台を超え、7月も1万台を優に超える受注を獲得する見込みだ(いずれも中国国内のみの数字)。11月には初年度の目標であった10万台を前倒しで達成する可能性が高いというから、現地での人気は凄まじいのだろう。
そんなSU7は当初より、ポルシェ タイカンとテスラ モデル3をライバルとして開発されたことが公言されていたが、いよいよその真価を全世界に向けてアピールするようだ。
去る7月14に開催されたシャオミの年次総会において、同社のレイ・ジュン(Lei Jun)CEOは、突如SU7の超高性能版「Ultra(プロトタイプ)」の存在を明らかにした。今年6月にはドイツ・ニュルブルクリンクサーキットで偽装が施されたSU7のテストカーが目撃されていたが、それよりもさらに過激なプロトモデルが存在するという。
3基のモーター出力はトータル1548psに達する
まずは動力性能である。前輪に1基、後輪に2基のモーターを備えたいわゆるトライモーター仕様のAWDだ。前輪には「V6s」と呼ばれる392psのモーターを、後輪左右にはそれぞれ578psを発生する新開発の「V8s」を搭載しており、その総出力は驚愕の1548psに達する。駆動用のバッテリーは高性能で知られるCATL麒麟2.0(Qilin)を採用している。
ニュルブルクリンクのタイムアタック用にボディ外板は巨大なリアウイングを含め、ほぼカーボンパネルに改められている。車両重量は1900kgに抑えられる一方で、高度なエアロダイナミクスを採用することで2145kgにもおよぶダウンフォースを獲得していると発表された。
強大なモーターパワーと軽量化されたボディ、そして車両重量を上回るダウンフォースを得て、Ultraは0→100km/h加速が1.97秒、0→200km/h加速5.96秒、0→300km/h加速15.07秒、そして最高速は350km/hという途方もない高性能を実現する。
また、制動力もレーシングトラックを意識して、APのレーシングブレーキや、強化された回生ブレーキシステム(最大0.6G)を搭載している。この組み合わせで最大減速Gは2.36を発生させることが可能で、300km/hからわずか15秒で完全に停止させることが可能だ。
本年10月にはニュルブルクリンクでタイムアタックを実施して「我々は世界一速い4ドアセダンを自ら実証するつもりだ(レイ・ジュンCEO)」とのこと。そして、2025年にはこのプロトタイプをベースにした量産モデルの販売も開始するという。
ニュルブルクリンクの市販電動4ドア車最速タイムは、ポルシェ タイカンターボGT(ヴァイザッハパッケージ)の7分07秒55。これにテスラ モデルSプラッド(トラックパッケージ)の7分25秒231で続いている。果たしてSU7 Ultra(プロトタイプ)は世界最速EVセダンの座を奪取できるのか。興味は尽きない。