高速料金や燃料代を折半する非営利型ライドシェアを展開する
タクシードライバーの高齢化やインバウンドによる需要拡大などの社会課題に対応するため、道路運送法の一部改正によって日本版ライドシェアのシステムが始まったのは2024年4月のこと。タクシー会社が車両運行の管理やドライバーへの教育、車両整備などを担い、一般のドライバーがタクシー業務を遂行できるようにするというもので、これは「営利型」ライドシェアとも言われている。
一方で「非営利型」ライドシェアも存在する。ドライバーが利益を享受せず、移動にかかった実費だけを乗員と折半するというもの。近年ではスマートフォンアプリnotteco(ノッテコ)をはじめとするライドシェアサービスも普及し、特定の目的地までの乗員を募集して相乗りする人数でガソリン代や高速道路利用料を分割、移動費用を抑えられるというものだ。ドライバーと同乗希望者のマッチングアプリとも言えるだろう。
こうした実費の収受だけであれば道路運送法上の許可や登録を必要としない、合法なものであるという判断は経済産業省によってすでに2017年に行われている。
ただ、長年こうしたライドシェアを導入している海外では、利用する女性や子どもに対する安全対策の少なさが問題になることもある。実際にライドシェア利用者の中でも、男性よりも女性の方が安全面を重要視する調査結果も出ている(女性79%/男性57%・オキジモリサーチ調べ)。
そうした中、沖縄県という地域限定ではあるものの2024年4月、インターネット経由で沖縄の交通情報共有サービスを展開してきた企業「オキジモ」は、利用者/ドライバーともに安心して利用できるライドシェアサービス実現に向けて、非営利型の女性専用ライドシェアサービスをスタートさせた。
沖縄県は那覇空港と浦添市を結ぶモノレールや路線バスはあるものの公共交通機関が発達しているとはいえず、そのため1世帯あたりの自動車保有台数は1.66台と全国平均(1.33台)より多いクルマ社会だ。そして女性観光客からの人気が高い土地柄という要素もあって女性専用ライドシェアの需要はありそうだ。
ドライバー登録できるのは女性のみ、相乗りするひとも女性と子どもに限定(女性に同伴する男性であれば可)されて、実費をアプリ上で折半するシステムとなっている。導入当初、「女性専用ライドシェアサービス」の名称でスタートしていたが、2024年6月20日にライドシェア事業を子会社「WaysLink」へ移行するのと同時に、サービス名称を「Wely」と名付けられている。
ちなみに沖縄県における交通渋滞は、経済損失は1400億円を超えると言われるほど深刻で、しかも2025年に沖縄本島の北部エリア開業する新たなテーマパーク「ジャングリア」によって交通環境はさらに深刻化するという予測もある。
クルマの空席を減らして効率的な移動を実現する非営利型ライドシェアを普及させることで、渋滞解消も目指していくとオキジモは発表している。