ドローンとして圧倒的な航続距離を誇る
テラ・ラボが開発を進める無人固定翼ドローン「テラ・ドルフィン」は、多目的プラットフォーム型無人航空機(MPPモデル、Multi Purpose Platforms)として開発されており、推進装置はレシプロエンジン、またはジェットエンジンから選択可能だ。搭載する観測機器も目的に応じて選べるので、あらゆる用途に使える万能な機体として設計されているのが特徴だ。
![画像: 推進器はレシプロエンジン仕様とジェットエンジン仕様から選択可能だ(写真はジェットエンジン仕様)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783662/rc/2024/06/06/96338dc441a868d6f1c82735c8605d40e89e5710.jpg)
推進器はレシプロエンジン仕様とジェットエンジン仕様から選択可能だ(写真はジェットエンジン仕様)
ドローンとしては圧倒的とも言える1000kmという航続距離は、災害時の広域観測任務だけでなく有事の際に日本の排他的経済水域(200海里、約370km)を対象に行われる洋上監視ミッションを考慮したものだ。陸上から経済水域の端まで行き、任務を遂行した上で余力を持って帰還可能な数値として設定されているという。
また、「テラ・ドルフィンシリーズ」が持つもう一つの大きな特長として、翼長が4mにもなる大型固定翼機であることで可能となった低い翼荷重を生かした低速飛行(速度100〜150km/h)と、10時間という長時間にわたって飛行できる点が挙げられる。そして観測任務に特化した唯一無二のドローンとして期待されている。
![画像: 今回初公開された「テラ・ドルフィンVTOL」は、推進用のメインプロペラ×1と離着陸用プロペラ×4という構成をしている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783662/rc/2024/06/06/1bc26a59d721cd9a3878532575382285b689e699.jpg)
今回初公開された「テラ・ドルフィンVTOL」は、推進用のメインプロペラ×1と離着陸用プロペラ×4という構成をしている
今回「ジャパンドローン2024」にて公開された「テラ・ドルフィンVTOL」は、4基の離陸用プロペラにより垂直離着陸が可能になったことにより、災害時にとくに問題となりやすい滑走路からの離陸を必要としない。すでに2024年1月から飛行試験が行われており、2025年からは量産が開始される見込みというから今後の展開に注目である。
さらに航続距離が2倍の「テラ・ドルフィン8000」
テラ・ラボブースには今回の目玉「テラ・ドルフィンVTOL」以外にも、航続距離を2倍に延長したロングレンジモデル「テラ・ドルフィン8000」やジェットエンジン搭載の「テラ・ドルフィン4300 ジェットモデル」、開発のプロトタイプとなった「テラ・ホークアイII」も展示されていた。
![画像: ロングレンジモデル「テラ・ドルフィン8000」は全幅8mの巨大ドローン](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783662/rc/2024/06/06/f39e926f7f421035a2e1642b79c08b559a064b9e.jpg)
ロングレンジモデル「テラ・ドルフィン8000」は全幅8mの巨大ドローン
今後これら「テラ・ドルフィンシリーズ」は、実用化にあたってドローンが規制を受ける高度150m以上の飛行が行えるように実証を重ねていくという。
ちなみに、現在のドローン(無人航空機)規制では、高度150m以上を飛行する際、その都度申請をしなくてはならないシステム(包括申請不可)が採用されているが、「テラ・ドルフィン」が投入される災害や有事の観測任務では現実的ではなく、テラ・ラボの取り組みが将来無人航空機の規制を変えるかどうかという観点でも、意義深い試みだと言えるだろう。