一般的なドローンと異なる固定翼機
テラ・ラボは災害発生時に長距離無人航空機を速やかに発進させ情報収集することで、災害の被害軽減に貢献するシステムを開発している災害DX企業である。
この情報収集システムの根幹をなすのが、今回発表があった長距離VTOLドローンの「テラ・ドルフィン」で、一般的なドローンとは異なり固定翼機であることが特徴的だ。
これは災害時に求められる長時間飛行能力を持たせるためで、洋上の長時間飛行に耐えうる高剛性の機体設計に加えて、10時間以上に及ぶ長時間連続飛行時間と1000km以上の航続距離を実現するハイスペックモデルとして開発が進められている。
翼長は4mにも及ぶ大型の機体であり、多目的プラットフォーム型無人航空機(MPPモデル)として開発されているため、レシプロエンジンやジェットエンジンなどの推進装置や観測装置を選択できる。また、災害時に滑走路を使わず迅速に飛行開始できるよう、垂直着陸可能な仕様にアップグレードされている点が従来のプロトタイプとの大きな違いとなる。
2024年度中の実装化を目指して開発
今までに飛行試験は2回実施され、1回目は2024年1月29日に愛知県知多市の名古屋港南5区で垂直離発着のテストが、2回目は静岡県静岡市の富士川滑空場で垂直離発着モードから固定翼モードへの切り替えテストがそれぞれ行われている。今後は、2024年度中の実装化を目指して開発が続けられるとのことだ。
ドローンといえば過疎地域での物資の運搬という「平時」の利用にフォーカスが当てられることが多く、災害対策/支援能力はどちらかといえば副次的なものとして設計されているものが多い。しかし、「テラ・ドルフィン」のように災害対策時に情報収集を行う専用のドローンが登場することで、「緊急事態」に備えたドローンという概念が広まり、今後、災害対策としての利用が全国に拡大していくかもしれない。