スマホやPCで無料で使えるナビアプリとして定番の「Googleマップ」。最新版は2023年11月にアップデートされており、それに伴い地図表示の“見た目”は大きく変更された。しかし、使ってみると単に見た目が変わっただけでなく、機能面でも様々なアップデートが実施されていることがわかった。そんなGoogleマップの最新状況をレポートする。
画像: 目的地までのルートは条件別に最大3ルートを提案。ルート上に表示されたタグをタップすることでルートの切り替えも容易だ。

目的地までのルートは条件別に最大3ルートを提案。ルート上に表示されたタグをタップすることでルートの切り替えも容易だ。

「イマーシブビュー」は必ず試してみるべきもの

そうした中で注目の新機能が「イマーシブビュー」だ。これは目的地までのルートを航空写真とストリートビューを組み合わせて再現するもので、スタート前に没入感のある映像で事前にルートを確認できる。出掛ける前にこの映像を見れば、まるで現地にいるような感覚でルートをチェックできるのだ。

画像: 最新版で搭載された「イマーシブビュー」。この俯瞰した表示のまま、目的地までのルートを動画で確認できる。

最新版で搭載された「イマーシブビュー」。この俯瞰した表示のまま、目的地までのルートを動画で確認できる。

また、目的地を探す際に、検索バー上に新しく表示される「Lens in Maps」のアイコンにも注目だ。これはGoogleレンズの機能拡張案とも言える機能で、周囲の知りたい施設へ向けてこのアイコンをタップすると、その施設情報が表示されるというもの。初めての土地へ出掛けて、周辺の状況を知りたい時などに使うと便利だ。ただ、現段階では東京やラスベガスなど世界50都市ほどの都市が対象だ。

トンネル内でGPSロスしても自車位置を把握している

これらが最新のGoogleマップで実施されたアップデート状況だ。しかし、実際にカーナビとしてGoogleマップを使ってみると、これまでにはなかった新たな能力に気付いた。それはトンネルなどに入ってGPS信号をロストした状態でも、道路の分岐にしっかりと追従するようになっていたことだ。

画像: 首都高速でルート案内している表示。分岐点では車線を案内するほか、分岐した後の道路名を表示するのがGoogleマップならではのポイント。

首都高速でルート案内している表示。分岐点では車線を案内するほか、分岐した後の道路名を表示するのがGoogleマップならではのポイント。

これまでも進行方向に対しては、トンネル内に入った時の速度をメモリーして、その速度のまま簡易的に自車位置をルート上に表示していた。しかし、分岐点で案内ルートと別のルートにあえて向かうと、GPS信号を受信できていないために自車マークはそのまま案内ルートへと向かってしまっていた。

それが今回、改めてその状況にトライしてみると、自車マークが多少ふらついたものの、案内ルートとは異なる別ルートへと自車位置を切り替えたのだ。おそらくスマートフォン内にあるジャイロセンサーからの情報を反映してのことだと思うが、これがAndroid端末ではなくiPhoneで対応していたことに驚かされた。

画像: トンネル内に入ってGPS信号をロストした状態。右側の新宿線へ案内している中をあえて左の都心環状線へ進むと、自車位置をしっかり追従して見せた。

トンネル内に入ってGPS信号をロストした状態。右側の新宿線へ案内している中をあえて左の都心環状線へ進むと、自車位置をしっかり追従して見せた。

ちなみに、この時は他の無料で使える3種類のカーナビ用アプリを使ってみたが、同じiPhoneを使ったにもかかわらず、すべてが分岐点でのルート変更には対応せず。この分岐に対応したのはGoogleマップだけとなった。スマホによるカーナビ用アプリは、GPS信号をロストした時の対応が最大の課題となっていたが、少なくともGoogleマップのはその課題をクリアしたことになる。

とはいえ、Googleマップは今もなお、すれ違いが難しい狭い道を案内したり、目的地の入口と反対側を案内することもあるなど、他のカーナビ用アプリと比べて案内ルートに対する信頼度は高いとは言えない部分もある。今回のチェックを終えて、Googleマップが測位能力に対する信頼度が大幅に向上したことは実証された。あとはGoogleマップがその他の課題に対応してくれることを期待したいと思う。

●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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