EVに興味があり欲しいと思っている人は現状で多いとは言えないでしょうが、それなりにいるはずです。ところが具体的に考え出すと、まずネックとなるのがガソリン車と比べるとかなり高価であるということです。今後、価格は下がるとは言われていますが、ガソリン車並みになるのはいつごろなのでしょうか。長期的な愛車の代替プランを考えるために頭に入れておきたい情報です。

全固体電池の実用化がターニングポイント

現在のところ、EVの価格は同クラスのガソリンのエンジン車と比較すると割高になっています。たとえば、最新の軽自動車EVである日産「サクラ」は、約255〜304万円という価格帯となりますが、同じクラスのエンジン車である「デイズ」は約144〜256万円。エンジン車よりもEVが100〜150万円ほども高い値付けとなっているのです。

こうした価格差は、搭載する駆動用バッテリーが高いというのが主な理由です。もちろん、自動車メーカーとしてもEVをいつまでも高いまま販売したいわけではありません。もっと数多く売るために、バッテリーの価格低減には力を入れています。しかし、それが期待ほど進んでいないというのも現実です。

画像: ホンダが説明する全固体電池の特徴とメリット。

ホンダが説明する全固体電池の特徴とメリット。

そうした中でEVがエンジン車並みの価格になるのには、大きな技術的ブレークスルーが必要と言えるでしょう。そして、そのブレークスルーとして期待されているのが全固体電池です。

次世代の電池として全固体電池は、性能だけでなく低コスト化も期待されています。そして、全固体電池の実用化は、2026年ごろから始まるというのが、自動車メーカー各社の予告となっています。この新しい全固体電池の登場により、EVの価格は今よりも低下することが期待されているのです。

トヨタは従来型バッテリーの改良も進めている

また、トヨタは全固体電池だけでなく、従来ある液体の電解質を持つリチウムイオン電池の改良も進めており、やはり2026年ごろからの市場導入を予告しています。こちらも従来品よりも高性能&低コストが売りであり、EVの価格低下に大きく貢献しそうな存在となります。

ただし、そこで一気にEVがエンジン車と同等になるわけではないようです。電池の価格低下だけでなく、クルマの作り方の改革も進めることで、EVとエンジン車の価格が同等になるのは、もう少し先になりそうです。

画像: 日産が掲げるEVのコスト削減ロードマップ。

日産が掲げるEVのコスト削減ロードマップ。

日産は、2024年3月に発表した経営計画「The Arc」において、「2030年度までにEVでエンジン車と同等のコストを実現することを目指します」と記しています。

2020年代後半に全固体電池をはじめとした新世代バッテリーが実用化されてEVの低価格化が進み、エンジン車と同等になるのは2030年代に入ってからというのが現実的な線になるのではないでしょうか。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

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