2024年5月1日、鉄道とロープウェイのいいとこ取りをしたような自走型ロープウェイ、「Zippar」を開発するZip Infrastructure 株式会社が、神奈川県と連携協定の締結を発表した。今後、勉強会の設立など同県内への導入に向けた動きが始まる。

鉄道×ロープウェイのいいとこ取り、最強のロープウェイ「Zippar」

Zipparの最大の特徴は自走型ロープウェイであることだ。つまり、鉄道でいうところのレール=ロープ、車両=ゴンドラとして機能するため、ロープウェイの最大のメリットである建設費用の安さを生かした新しい交通手段として期待できるというわけだ。

ただ、この自走式ロープウェイという発想自体は初めてではなく、50年以上前の1969年2月から1978年9月まで五台山ロープモノレールではディーゼルエンジン式の自走ゴンドラで営業運行が行われていた。

残念ながら、五台山に行く人しか使わない観光アトラクションであったことに加えて、並行する車道の開通とモータリゼーションの普及により、公共交通機関としての必要性が薄れてしまったことにより廃業となってしまったが、先駆者としていくつかのポイントはお手本にしているかもしれない。

画像: カーブではロープと同じ直径のパイプを用いることで、曲がれるロープウェイを実現した

カーブではロープと同じ直径のパイプを用いることで、曲がれるロープウェイを実現した

ロープウェイのカーブに弱いという弱点は、カーブ部分をロープと同じ太さのパイプで軌道にすることで解消し、直線箇所は通常のロープを張ることで建設コストとカーブへの柔軟性を両立している。

また、自走式であることにより分岐も設置可能であるため、2点間の循環経路しか結べない従来のロープウェイとは異なり、鉄道のように目的地に応じた路線を複数開設できるようになった。

さらに、各ゴンドラが独立して運行可能ということは停車可能で乗降性に配慮されていることや、2本式ロープにより安定性・耐風性も確保している。

こうして鉄道とロープウェイのいいとこ取りを狙ったコンセプトの「Zippar」は、いま期待のモビリティと言っていいだろう。今後、検討が進み、どこでどのように導入されるのか注目して行きたい。

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