ABSだけに頼らない、レンジローバー エレクトリックの駆動制御
レンジローバーやディスカバリー、ディフェンダーといったSUVブランドを展開するランドローバーは、「レンジローバー」からEV攻勢を開始する。JLRが2021年に発表した電動化戦略「REIMAGINE」によると、2030年までに6車種のEV(FCEV含む)を投入して、2036年の100%ゼロエミッション実現に向けて開発が進んでいくとしている。
その第1弾がフラッグシップブランドのEV「レンジローバー エレクトリック」だ。2024年後半の発表に向けて、あらゆる環境下でラグジュアリーな旅を続けられる性能を実証するためマイナス40度の北極圏から50度を超える中東の砂漠地帯まで、世界の過酷な環境下でのテスト走行が行われているという。
こうしたテスト風景の中でも、今回公開されたのはスウェーデンの凍った湖で行ったもので、低温化でのバッテリー性能だけでなく、電動ドライブユニットによるオールテレーンの走行性能評価に焦点があてられた。
エンジンを搭載したレンジローバーは言わずもがなの走行安定性を持ち合わせているが、こうした従来モデルのトラクションコントロールシステムは、スリップしやすい路面状況をブレーキ制動することで駆動力を確保するABSユニットに頼る方式だった。
しかし、レンジローバー エレクトリックは駆動力の伝達レスポンスに優れたモーター駆動と、電動ドライブコントロールユニットの組み合わせにより、各ホイールのトルク反応時間を従来の約100ミリ秒からわずか1ミリ秒まで短縮。その結果、ABSの介入だけに頼ることなく、あらゆる路面でトラクションを最大化することに成功したという。
JLRのトーマス・ミュラー エグゼクティブディレクターは、「従来からレンジローバーが持つラグジュアリーさや洗練性、走破能力に、静かな電気駆動システムを組み合わせることで、スムーズでリラックスした旅を実現します。テストと開発プログラムによりレンジローバー エレクトリックの能力を極限まで高め、比類なきモデルとして提供します」と語ったという。
正式な発表が行われる「2024年後半」にあと1カ月ほどで突入する。車両スペックや機能などの詳しい情報もそろそろ公開されるのではないだろうか。ちなみにイギリス本国や北米などでの予約受付はすでに始まっているという。