全固体電池の生産工程における課題を見つけ解決策を図る
2024年3月25日、日産は2024年度から2030年までの中長期的な経営計画「The Arc」を発表した。そこには今後3年間で30車種(電動車を16車種、エンジン搭載車を14車種)の新型車を投入するとともにグローバル市場での電動車ラインナップ比率を2026年度に40%、2030年度には60%まで高めることが記されている。
電動車のなかでも、日産は新たなアプローチとして低価格で収益性の高いEVの投入も予告。複数のEVファミリーとして開発し、パワートレーンの一体化や次世代モジュラー生産、バッテリーの革新などによりコストを現行アリアと比較して30%削減、2030年度までにエンジン車と同等のコストにするという。
EVに搭載されるバッテリーは今後も進化し、そしてラインナップの多様化も図られる。サクラのバッテリーと比較してコストを30%削減したLFPバッテリー(リン酸鉄リチウムイオン電池)、正極材の主原料コバルト・ニッケル・マンガンを採用したNCMリチウムイオンバッテリー、そしてEV市場のゲームチェンジャーになるとも言われている全固体電池の3ラインナップとして、競争力を高めるとしている。
この発表からひと月も経たない2024年4月16日、日産は2028年度の実用化に向けて研究開発している全固体電池パイロット生産ラインを公開した。横浜工場内に敷設されるパイロットラインでは、新たな工法を取り入れてその作業性を検討、生産工程における課題解決を図っていくという。
全固体電池は従来比で約2倍という高いエネルギー密度、優れた充放電性能による充電時間の短縮など、性能面でのメリットは多くある。日産は全固体電池を自社開発することで、安価な材料の採用によるコスト低減を計り、幅広いセグメントへの搭載などでEVの競争力を向上させたいとしている。