アニベルサリオのオーナーの元に届けられたレベルサリオ
フェラーリ テスタロッサのようなスーパーカーから、プジョー 306をはじめとする実用車まで、さまざまなモデルをデザインしたイタリア最大のカロッツェリア「ピニンファリーナ」は今、インドのマヒンドラグループの子会社で、アウトモビリ ピニンファリーナとしてハイパーEVの開発・製造を行っている。
日本ではあまり馴染みのないインドの企業「マヒンドラ」は、トラクターをはじめとする農業機械の分野では世界的なメーカーである一方、乗用車や小型商用車のメーカーとしてインドで大きなシェアを持ち、ガソリン車やディーゼル車、EVも多く輩出しているほか、フォーミュラeに初年度から参戦しているブランドでもある。
ここで紹介するピニンファリーナのハイパーEV「バッティスタ」は、創業者であるバッティスタ・ファリーナの名に由来している。ノーズからテールエンドまでワンモーションで描かれたようなシンプルで流麗なスタイリングはいかにもピニンファリーナらしい美しさを持ち、最新のハイパーカーらしく、フルカーボンファイバー製モノコックにアルミニウム製サブフレームを前後に組み合わせたボディ構成。外観を覆うボディパネルもカーボンファイバー製だ。
四輪にそれぞれモーターを搭載した4モーター式の4WDで、システム最高出力は1900ps(1400kW)、最大トルクは2340Nmに達する。この大パワーをコントロールするトルクベクタリング機能を搭載することで、四輪の駆動配分を独立制御して直進安定性や旋回性能を高められているうえ、最高速は350km/h以上、0→100km/h加速は1.86秒、0→200km/h加速は4.79秒と、F1マシンを凌ぐ数値を叩き出しているという。
センタートンネルとシートの後方には、120kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載して、航続可能距離は476km(WLTPモード)というグランドツアラーとしての実用性も兼ね備える。
2020年には創立90周年を記念する5台の限定車「バッティスタ アニベルサリオ」が登場したが、今回、アニベルサリオの特別仕様車とも言える「バッティスタ レベルサリオ」が製作された。
従来のアニベルサリオは、ボディを上下に二分するアイコニカブルーのピンストライプを境に、ボディカラーを下半分はグリージョ・アントネリアーノ・グロス(灰)、上半分はビアンコ・セストリエーレ・グロス(白)としていたが、今回のレベルサリオでは上下のカラーを反転させて、まるで「対照的な双子」のような仕上がりにしているのだ。
キャビンスペースはブラックを基調として、白のアルカンターラシートとヘッドライナー、そしてシートベルトやハンドルセンターなどにブルーのアクセントカラーが配色されている。
このレベルサリオは、アニバサリオオーナーの元に届けられて対をなしているという。このオーナーは「双子は完全にデザインが統一されて、完成された愛と結びついているため永遠に分離することはできません」と語った。
ピニンファリーナ バッティスタ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4912×2240×1214mm(全幅はミラー含む)
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2302kg
●モーター:4基
●システム総合最高出力:1400kW(1900ps)
●システム総合最大トルク:2340Nm
●バッテリー総電力量:120kWh
●WLTPモード航続距離:476km
●駆動方式:4WD