目指したのは、NFR-01 proの登坂性能最大化
では、シェアサービス向けの「NFR-01」と一般向けの「NFR-01 Pro」でなにが違うのか。シェアサービスに必要なコネクティッド機能をはじめとしたシステム的な違いがある一方、大きな差はスペース効率を高めるためハンドルに折りたたみ機構を追加していることだ。
クルマのラゲッジスペースに積載しやすく、また自宅室内に置きやすくしているのだ。1300mmという全長は折りたたんでも変化しないが、通常時の全幅560mm/全高1080mmは折りたたむことで320mm/720mmにまでコンパクト化できる。バッテリー込みの車両重量は24kgで、クルマのラゲッジルームに載せるために持ち上げる程度ならひとりでも難なくできるだろう。
パワートレーンは48V・9.6Ahのリチウムイオンバッテリーと500Wのインホイールモーターで構成されるが、特に登坂能力を重視した出力特性にしているという。国土の70%以上は山地でとにかく坂が多い日本において、日常生活で考えられる坂を止まらずに登れる性能を持たせること、そして航続可能距離を伸ばすことを重点的に煮詰められている。
この駆動性能は東京都内でもっとも急勾配の29%で激坂とも言われているまぼろし坂(品川区)において、停止状態から登坂するテスト動画も公開されている。こうした性能を支えているのが、低速域から最大トルクを発生させるためのEV向け48Vバッテリーセルと、専用設計されたバッテリーマネジメントシステム(BMS)だ。
今回、このNFR-01 Proを試乗する機会も用意されて少し運転することもできたが、パワフルであることを疑う余地はない。なにも知らずに停止状態からフルスロットにすれば、軽くウイリーしそうなほど勢いよく加速する。動画のとおり上り坂を心配することはなさそうだ。
この試乗で少し気になったのはアクセルレスポンスがゆったりめに設定されていることだ。停車からの発進ではあまり気にならなかったことだが、走行中にコーナーを曲がってから再加速しようとしたときにグリップを捻ると、一拍おいてから加速してくる印象だ。慣れの問題もあると思うが、戸惑いを感じた部分でもあった。
しかしこの設定、実はあえて行われたものだという。アクセルレスポンスが良すぎると思わぬ場面、ちょっとした入力で加速して危険を感じてしまうこともあるだろう。そこで加速を少し遅らせることで、安全性を高めているのだ。確かにスポーツ走行を楽しむモデルではなく、あくまでラストワンマイルを移動するモビリティなのだから理にかなった設定ではないだろうか。