特注品ではなく市販パーツの組み合わせで誕生した「世界一のドローン」
実は今回のスーパードローンに使用されている電子機器やモーター類は、特注品ではなくごく標準的な市販製品を使用している。ただし、サプライヤーには最新かつ未発売の高性能モデルの提供を求めており、たとえばモーターには設計当時未発売だった最新パーツも少量組み込めれていた。
一方で、ドローン本体の外側を覆う外部パーツはホーゲンバーク氏らがゼロからデザインして3Dプリンタで作成したものが用いられ、カーボンファイバー素材のCNC加工(コンピューター制御による高精度加工)も自分たちで行なっている。
こうした懸命な開発努力の甲斐もあって、制約の多い撮影用ドローンでありながら、最高速は350km/h、0→300km/h加速はわずか4秒(ほとんどのF1マシンは0→97km/h加速に2.6秒かかる)、バッテリー持続時間3分、機体重量1kg以下という異次元の高性能ドローンがついに完成したのである。
また、ライブストリーミングが可能なカメラの性能を達成しようとしたところ、10ビットカラーの4K60fps/5K30fpsカメラも問題なく動作するということで、機動性能だけでなく撮影性能にも一切妥協のない高水準なモデルとして仕上げられた。
ドローン映像による迫力あるレース観戦の可能性に期待
今回、F1マシンの高い機動性にも追従できる画期的な撮影用ドローン「Red Bull Drone 1」が誕生したことで、マシンの走行シーンをより迫力ある視点で映像化できるようになった。
実際のF1レース中の撮影にも用いられるようになれば、レース観戦の熱も盛り上がりモータースポーツへの関心も高まることは間違いないだろう。
レースゲームでよくある3人称視点を、現実でも再現できるという“ドローン撮影革命”がどのように進展していくのかは未知数だが、今後の空撮の新たなあり方として期待したい。