「エレトレ(ELETRE)」に続くフル電動ロータスの第2弾がハイパーEVの「エメヤ(EMEYA)」だ。2023年9月にニューヨークで公開となり、今後の動向が注目されていたが、去る2月9日、ロータス・カーズは15カ国と2大陸で行われていた延べ3年間に渡る広範なテストおよび開発プログラムを終了したことを発表。2024年後半に納車をスタートすることを明らかにした。

極寒の下でも安定性とハイパフォーマンスを確認

3年間に渡ったエメヤの開発プログラム、その最終テストは北極圏に位置する極寒の地、フィンランドのイヴァロで行われた。数週間にわたるテスト期間中の気温は摂氏マイナス25度という過酷なもの。日によっては摂氏マイナス40度まで下がったという。

そんな環境において、開発チームはサスペンション、ステアリング、ブレーキ、トラクション、スタビリティコントロールなどのシャシーシステムの性能評価を行い、極低温下における凍結路や積雪路面での車両への影響を確認した。高度な電子制御システムを採用しているが外気温や悪路面による性能の劣化は認められず、ロータスらしいパフォーマンスはいかんなく発揮されたようだ。

画像: 極寒下でも高度な制御と四輪駆動によって安定したパフォーマンスを発揮する「ロータス エメヤ」。

極寒下でも高度な制御と四輪駆動によって安定したパフォーマンスを発揮する「ロータス エメヤ」。

EVが苦手とする極低温下の充放電も問題なし

一般にEVは低温が苦手だが、エメヤに搭載される102kWhバッテリーはマイナス40度の過酷な環境下でも充電/放電ともに能力の劣化も認められなかった。また、空調および熱管理システムとも併せてあらゆる状況で快適に作動することを確認。より効率をアップさせるべく調整作業も行われた。シートヒーターやステアリングホイールヒーターもオプション設定され、寒冷地でも快適な室内温度をキープできるという。

画像: 北極圏でも安定した充電・放電性能が確認されたエメヤ。究極のオール電動グランドツアラーだ。

北極圏でも安定した充電・放電性能が確認されたエメヤ。究極のオール電動グランドツアラーだ。

雪などによって路面の表示や交通標識の視認性が悪化する状況でも、影響は最小限でありドライバーの安全運転に寄与することが確認された。温められたサイドカメラとミラーが、結露、雪、氷による視界への影響を防ぐとともに、ヘッドアップディスプレイを「スノーモード(ディスプレイ表示を青色に変える)」に切り替えることで、ドライバーは白い背景に対して道路の輪郭をより簡単に認識することができるという。

今回のテストでは、専用開発された雪道用タイヤの性能確認も行われた。エメヤはモーター最高出力675kW(905hp)、同最大トルク985Nmを発生し、最高速256km/hを誇るフルタイム4WDのハイパーGTだ。ロータスならではのハンドリングとそのダイナミックなパフォーマンスを雪道でも安心して引き出すには、やはり専用のタイヤが必要になるということだろう。

画像: 雪上のハンドリングとダイナミクスを効果的にサポートするために専用のスノータイヤを開発。

雪上のハンドリングとダイナミクスを効果的にサポートするために専用のスノータイヤを開発。

今後は仕向け地別にローカルテストを追加実施

エメヤは今回の最終プログラムに先立ち、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェ、イタリアのナルド高速周回路などのテストコースのほか、2大陸15カ国のあらゆる道路と気候、環境でさまざまなテストを3年間にわたり重ねてきた。今回のフィンランドにおける耐寒テストはその集大成だ。

今後、中東、北米、オーストラリアで仕向け地別の追加テストを経て、いよいよ今年後半から顧客への納車が始まる。エメヤのリージョナル・ビークル・ライン・ディレクターであるSylvain Verstraeten氏は、「ロータスのテストプロセスは厳格で、サスペンション、ステアリング、バッテリーやタイヤに至るまで、あらゆる性能評価をクリアしています。エメヤは、365日、あらゆるコンディションでお客様に最適なドライビング体験を提供するように設計された、究極のオール電動グランドツアラーです。お客様にエメヤを実際に体験していただけることを非常に嬉しく思います」と、その完成度に自信をみせる。

画像: 「エメヤ」はラグジュアリーパフォーマンス・ブランドへ舵を切ったロータスのフラッグシップ。日本への導入時期はまだ発表されていない。

「エメヤ」はラグジュアリーパフォーマンス・ブランドへ舵を切ったロータスのフラッグシップ。日本への導入時期はまだ発表されていない。

ロータスが電動化に軸足を置いたラグジュアリーパフォーマンスブランドへと移行する中で、エメヤはその象徴とも言うべき存在だ。ポルシェ タイカンやアウディ e-tron GTのライバルとして、日本の道を走る姿をぜひとも見てみたい。

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