自宅に充電設備があり、電動走行を楽しみたいというのであれば、購入の選択肢にEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)が挙がってくるでしょう。それぞれに、どのような違いがあるのか、そのメリット&デメリットを並べて考察してみました。

クルマをどのように使うかを確認しましょう

EVはモーターとバッテリーだけで走行を行います。メリットは充電のみで給油をしなくていい、ということでしょう。自宅で充電できるのであれば、帰宅してクルマを使っていない間に充電が行われます。

また、EV専用プラットフォームを使うことで、エンジン車よりも、自由なパッケージングが可能となります。具体的には、より広い室内空間を生み出すことができるのです。エンジン車とは異なる、ユニークなルックスや使い勝手も魅力となるでしょう。

デメリットはバッテリー価格が高額であり、しかもバッテリーが重いため、搭載できるバッテリーの量をあまり大きくすることができません。そのため、現状500〜600万円クラスのEVでは、400〜600kmの航続距離が限度になります。それ以上に、遠くまで走っていこうとすると、途中で充電する必要があります。その充電は数分ではなく、30分や1時間といった単位で、非常に面倒と言えるでしょう。

ちなみに、EVはバッテリーが高額ということもあり、純エンジン車よりも車両価格が割高です。しかし、PHEVもそれなりに多くのバッテリーを積んでいるため、やはり純エンジン車よりも割高になります。ちなみにトヨタのEVである「bZ4X」の4WDの価格は600〜650万円、PHEVの「RAV4 PHEV」は563.3万円。同じサイズ感のSUVでも、EVの方が若干高くなっています。

画像: PHEVのベストセラーとなるのが三菱自動車の「アウトランダーPHEV」。

PHEVのベストセラーとなるのが三菱自動車の「アウトランダーPHEV」。

PHEVはハイブリッド車のバッテリーを大きくして、外からの充電を可能としたクルマです。メリットは航続距離が長いこと。EV走行で充電した電力を使い果たした後も、搭載するエンジンで走り続けることができます。ほぼエンジン車と同等の航続距離を実現しています。

そして、短距離であれば、自宅で充電した電力を使ってのEV走行で済ますことができます。つまり、ふだんの近所の買い物はEV走行で済ませ、たまの週末のロングドライブも苦もなくこなすことができます。

ただし、EV走行距離は限られているので、「EV走行だけしかしたくない」という人にはおすすめできません。また、EVに対して、余分にエンジンと燃料タンクいう機械を備えているので、クルマが重くなってしまうのもデメリットです。さらに、プラットフォームはエンジン車やハイブリッド車と共有になるため、パッケージングは旧来通りのものとなります。

画像: 「マツダ MX-30」は、ひとつの車型でハイブリッド車、PHEV、EVの3つが発売されています。

「マツダ MX-30」は、ひとつの車型でハイブリッド車、PHEV、EVの3つが発売されています。

「EVとPHEVのどちらを選ぶべきか?」というのであれば、その答えは「使用状況しだい」となるのではないでしょうか。「近隣の単距離だけしか使わない」、「EV走行のみで使いたい」というのであればEVですし、「長距離ドライブも行いたい」というのであればPHEVとなります。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

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