EVの購入を考えているならば、同時に「V2H」を設置することを検討した方がいいでしょう。戸建に限られますが、このシステムを導入すれば、より効率よく電力を活用できます。初期費用はかかりますが、いずれそれは回収することができますし何より便利です。さて、この「V2H」とはいったいどういうものなのでしょうか。

EVとホーム(家)とで電気を巧みに融通し合う

V2H(ブイ・ツー・ホーム)とは、「V(vehicle:ビークル)」「to」「H(Home:ホーム)」のこと。クルマと家をつなぐことを表した用語で、具体的にはクルマ(EVとPHEV)と家の間で電力を融通し合います。あるときは、家から電気を送ってクルマを充電し、またあるときは逆にクルマから家に電力を送るシステムのことです。

EVとPHEVは、車体に搭載する大きなバッテリーに電力を蓄えることができます。その蓄えた電力を走行だけでなく家にも供給しようというアイデアがV2Hになります。

画像: V2Hは基本的に戸建のガレージに設置することになる。(写真:パナソニック)

V2Hは基本的に戸建のガレージに設置することになる。(写真:パナソニック)

V2Hのメリットは何かと言えば、「電力を賢く使えること」と「万一の災害に備えること」ができることになります。賢く使えるというのは、端的に「安く」することができます。電気料金の契約を夜間が安いプランにして、料金の安い夜間にEVに充電して、料金の高い昼間はEVの電力を家で使えば、家庭の使う分も含めて電気料金を抑えることができます。

また、電力をたくさん使うタイミングでEVの電力を家に使うようにすれば、家庭の電気契約の基本料金を抑えることも可能です。

画像: 安い電力をクルマと家でやりとりすることで電気料金の節約になる。(画像:パナソニック)

安い電力をクルマと家でやりとりすることで電気料金の節約になる。(画像:パナソニック)

そして、「万一の災害」で停電になったときは、V2HでEVを家庭の電源にすることもできます。一般的な3人世帯家庭が使用する1日の電力は10kWh程度ですから、40kWhのバッテリーを搭載したEVであれば4日分の電力を供給することが可能な計算になります。

ちなみに、EVは独立した電源になるため、ノイズが少ないのも特徴です。以前、コンセント(系統電源)とEVからの電気で、オーディオを聴き比べしたところ、EVの電気の方がノイズがなくてスッキリと良い音で鳴ったという体験もしました。

画像: こちらはニチコンのV2Hシステム。

こちらはニチコンのV2Hシステム。

ただし、V2HはEVがあれば、どの家でもできるわけではありません。家のブレーカーに工事が必要ですし、EVと家をつなぐための専用のV2H機器が必要です。V2H機器は数十万円もします。安価なものではないので、導入するときは、国や地方自治体の補助金制度を利用するようにしましょう。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

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