ダッジ、JEEP、アルファロメオやマセラティにも
グローバルで14もの自動車ブランドを擁する自動車メーカーグループがステランティス。プジョー/シトロエン/DS、フィアット、フィアットプロフェッショナル、アバルト、アルファロメオ、Jeep……日本でも8ブランドを展開しているのはご存じのとおりだ。
そんなステランティスグループが、次世代車用EVプラットフォーム4種類を開発、集約して、各ブランドで使うことを発表したのは2021年7月に開催された「EVDAY 2021」でのこと。「STLAスモール(Small)」、「STLAミディアム(Medium)」、「STLAラージ(Large)」の乗用車系3種類、ピックアップトラック系に「STLAフレーム」が存在し、全ブランドにEVを投入することなどが明らかにされている。2023年7月5月には「STLAミディアム」が正式発表され、2024年の第4四半期に登場するDSブランドの新型車(DS4?)から採用が始まる。
今回発表された「STLAラージ」は、D/Eセグメント車に採用される乗用車系では最大級のサイズ。北米でまず2024年第4四半期にダッジとJeepブランドから新型車を発売開始、続いてアルファロメオ、クライスラー、マセラティなどにも拡大採用され、2026年までにグローバルで計8車種が揃う。
エンジンやハイブリッドにも対応可能
EVとしての基本性能は、セダンに採用された場合、800kmの航続距離と、毎分4.5kWhの高い充電効率(800Vアーキテクチャーの場合)を誇り、さらに車種にもよるが0→100km加速2秒台というトップレベルのポテンシャルが与えられている。
さらに、異なる国(北米と欧州)で生産が可能な柔軟な構造をもち、伸縮の可能なホイールベース、バリエーションに富んだ全長、全幅、全高、そして最低地上高を可能にしている。サスペンション形式すらも変更可能だ。各ブランドが独自の考えに基づいたアレンジを施し、クロスオーバーSUVから乗用車までD/Eセグメントの幅広い車種で展開する。
驚かされるのは、モーターだけでなく内燃機関の搭載も可能なところだ。ステランティスは“マルチエネルギーバリエーション”と呼ぶが、つまりはトヨタが掲げる“マルチパスウェイ”を彷彿とさせる設計手法だ。
ただし、ステランティスはあくまでEVを前提に設計しているが、トヨタは既存の内燃機関搭載車のプラットフォームを活用してEV用に設計変更しているところが異なる。
ステランティスの「Dare Forward 2030」計画では、2030年時点に米国で乗用車とピックアップのEV販売比率50%を目指しているところから、今後北米市場ではEVとハイブリッド(PHEV)を2本柱にしていくと思われる。
オペレーションは400Vが標準で、800Vアーキテクチャーも用意するとのこと。搭載バッテリー容量は118kWhまで対応し、駆動ユニットは、モーター、炭化ケイ素半導体を採用したパワーインバーター、ギアリダクションの3つを一体化したスリーインワン・モジュール(EDM)。前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動などさまざまな配置と駆動方式が可能である。また、その性能はOTA(オーバー・ジ・エア)によりバージョンアップが可能な「SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)」でもある。
【STLAラージプラットフォーム基本仕様】
・対応車両サイズ:全長4764〜5126mm×全幅1897〜2030mm
・ホイールベース適合範囲:2870〜3075mm
・最低地上高範囲:140〜288mm
・最大タイヤ径:858mm(32.6インチ)