ついに登場、電動キックボード向け自動ワイヤレス充電
これまでの電動キックボードのシェアリング事業では、サービス事業者のスタッフが定期的にポートを巡回し、バッテリーの交換や充電等の管理を行わなければならず、コストや手間がかかってしまう。
また、ポート自体にワイヤレス充電機能があれば、ユーザーが駐車するだけで自動的に充電されるため運用コストの低減を図れるのにという思いはあっても、現在普及している電磁誘導方式のワイヤレス給電システムでは位置ずれに弱く、ユーザーが正しい場所にピンポイントで駐車しなければならないため、ユーザーの利便性の面でも導入しづらい障壁となっていたことは間違いないだろう。
そこで登場したのが、豊橋技術科学大学発のベンチャー「パワーウェーブ」が開発した最新のシステム。一般的な電磁誘導方式とは異なり、位置ずれに強い「電界結合方式」という世界でまだ運用されていない方式を採用したことにより、電動キックボードシェアリングサービス利用者がラフに駐車しても安定して給電が可能というのだ。
地面に置かれた送電ユニットと車体側の受電ユニット間に9cmの間隔があり、ユーザーの返却と同時に自動充電が開始されるお手軽仕様で、2023年11月には総走行距離1000kmの走行実験に成功しているそうだ。
実証実験は1カ月間、4ポートで行われる
今回行われる実証実験では、電動キックボードシェアサービス「LUUP」と協力し、愛知県豊橋市内の4ポート(豊橋駅南口駅前広場・emCAMPUS・こども未来館ここにこ・豊橋市役所)に導入され、5台がワイヤレス自動給電に対応する車体となる。
16歳以上の人は誰でも利用でき、料金は通常のLUUPと同じ30分ごとに200円かかる。また、利用には「LUUP」アプリをあらかじめダウンロードし、電話番号や氏名、生年月日などを入力後、クレジットカードや年齢確認書類の登録、交通ルールテストへの合格といった事前準備を行う必要がある点に注意が必要だ。
今回の実証実験の結果が広く世間に認知されれば、パワーウェーブが目指す「気が付かないうちに充電される社会」の実現に向けて大きく前進することになるだろう。
また、ソフトウェア制御を変更することで、現在は返却ごとに発生する「写真で行う、きちんと駐輪しました報告」をなくすことができれば、駐輪マナー問題や返却の手間が減り、一石二鳥となるかもしれない。今後は走行中給電も見据えたワイヤレス充電システムの技術発展に要注目である。