2022年に世界で最も数多くのEVを販売したのが中国のBYDだ。その数は年間で180万台オーバー。日系メーカーや米テスラを軽々と上回る、恐るべき数字と言えるだろう。そのBYDが日本市場に挑戦する先鋒となったのがミッドサイズSUVのEV「ATTO3(アット・スリー)」だ。

独自開発のバッテリーとEV専用プラットフォームを採用

2023年1月より日本での発売が開始されている「BYD ATTO3」。ちなみに「ATTO3」の世界販売は、シンガポールやオーストラリアなどで2022年より開始されており、どこも好評であるとBYDは説明している。また欧州での発売も予定されており、先行して行われたユーロNCAPの自動車アセスメントでも、最高評価の5つ星を獲得している。

「ATTO3」の特徴は、BYDが独自に開発したリチウムイオン電池の「ブレードバッテリー」とEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」を採用しているところだろう。「ブレードバッテリー」は、熱安定性の高いリン酸鉄リチウムを使った電池であり、刀のように薄く長い形状にして効率よくパッケージしているのが特徴だ。安全性が高く、体積当たりのバッテリーの密度を高めることができる。そしてこれにより長い航続距離を実現しているのだ。

価格競争力は極めて高く、ライバルは震撼

「e-Platform 3.0」は、床下に「ブレードバッテリー」を敷き詰め、「8in1パワートレイン」と「高効率ヒートポンプシステム」を採用する。「8in1パワートレイン」は、駆動用モーターをはじめ、トランスミッション、DC/DCコンバーター、バッテリーマネージメントシステム、オンボードチャージャー、高圧配電モジュール、車両コントロールユニット、モーターコントロールユニットをひとつにまとめたものだ。

これにより重量で15%減、体積で20%減を実現しているという。「高効率ヒートポンプ」は、室内のエアコンとバッテリーの温度管理システムを統合。効率を高めることで、冬場の走行可能距離延長にも貢献している。

画像: 「BYD ATTO3」。ボディは全長4455×全幅1875×全高1615mmで扱いサイズと言える。

「BYD ATTO3」。ボディは全長4455×全幅1875×全高1615mmで扱いサイズと言える。

EV専用プラットフォームを採用したことで「ATTO3」は広い室内空間を得ている。また、58.56kWhの「ブレードバッテリー」が実現する一充電当たりの航続距離は485kmという数字も十分なものだ。それでいて、価格は440万円というのは、非常に価格競争力が高いと言えるだろう。

BYDは、2025年までに日本国内に100を超える販売網を構築する予定だという。これも「ATTO3」購入の後押しになるのも間違いない。「中国からの黒船来襲!」と言えるのがBYDの「ATTO3」なのだ。

【主要諸元 BYD ATTO3】 
型式:ZAA-SC2EXSQ 寸法:全長4455×全幅1875×全高1615mm ホイールベース:2720mm 車両重量:1750kg 乗車定員:5名 最小回転半径:5.3m 電力量消費率:139Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:470km(WLTCモード) 電池総電力量:58.56kWh 最高出力:150kW(204PS) 最大トルク:310Nm 駆動方式:前輪駆動 車両価格:440万円 CEV補助金:85万円

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