EV用バッテリーを再活用したポータブル電源が新潟県長岡市のふるさと納税返礼品に採用された。各自治体の返礼品は地元特産の食品が多いなか、地元で生産されるポータブル電源が採用されるのは異例。しかもそれはEV由来なのだ。

異色の返礼品は地元・長岡市で生産

EVに搭載しているバッテリーは、リチウムやコバルトなど希少な物質を含んでいる。ゆえにEVの普及とバッテリーの二次利用はセットで考えなければならない。各EVメーカーが試行錯誤するなか、日産自動車、JVC、フォーアールエナジーの3社は、民生用機器としてポータブル電源を開発した。

すでに9月1日より全国の日産自動車販売店で「ポータブルバッテリー from LEAF」の商品名で発売を開始したほか、JVCケンウッドも同社の公式オンラインサイト「JVCケンウッドストア」でKENWOODブランドの「IPB01G」として販売している。

それがなぜ新潟県長岡市のふるさと納税の返礼品に採用されたのか。実はこのポータブル電源は、長岡市にあるJVCケンウッド長岡で生産されている。同工場は医療用映像表示モニターの生産をメインに手掛ける事業所だが、さらなる地域振興への貢献が模索されるなかで、同工場で生産されているポータブル電源に白羽の矢が立ったのだ。

画像: 日産リーフのバッテリーを活用したポータブル電源「IPB01G」。日産ディーラーやKENWOODオンラインショップでも発売中(日産:税込み17万500円・KENWOOD:オープン価格)

日産リーフのバッテリーを活用したポータブル電源「IPB01G」。日産ディーラーやKENWOODオンラインショップでも発売中(日産:税込み17万500円・KENWOOD:オープン価格)

そもそもEV用バッテリーは、非常に高性能で他の電池に比べはるかに長寿命だ。クルマがその役目を終えても、電源としてはまだまだ現役だ。

車載用バッテリーの利点を活用し、マイナス20度から60度の環境においても車内での使用や保管が可能。しかも自己放電が少ないので、満充電ならば1年放置しても電池残量は84%を確保。長期に渡って保管できる。

もちろん、繰り返し充電はお手のものだ(約2000回)。毎日充電しても、5年以上性能を発揮する。ビジネスやレジャーでの利活用のほか、災害時などの非常用電源としての活躍も期待されている。ポータブル電源の仕様は以下のとおり。

画像: パワーオフにした車内でも使えるし、もちろん家の中でも使えるポータブルバッテリー。充電はEVからもできるし、家のコンセントからでもできる。

パワーオフにした車内でも使えるし、もちろん家の中でも使えるポータブルバッテリー。充電はEVからもできるし、家のコンセントからでもできる。

【主要諸元 KENWOOD(IPB01G)】 ※「ポータブルバッテリー from LEAF」も同仕様
・充電池タイプ:リチウムイオン充電池(リサイクルバッテリー)
・充電池容量:633Wh
・入力 12〜25V DC 100W
・AC出力:【AC×2】100V AC 50/60Hz 合計600W(瞬間最大1200W)
HIGH-POWER時/合計900W
・ USB出力:【USB type-C】5V DC 3A
【USB type-C】5V/9V/15V/20V DC 3A(最大60 W)
【USB type-A×2】5V DC 1.5A
・シガーソケット出力:12V DC 10A 最大120W
・充電時間:ACアダプター使用時/約9.5時間/シガーアダプター使用時/約14時間
・充電温度範囲 0度〜45度
・動作温度範囲 マイナス20度〜60度(ただし、バッテリー温度が60度を超えた場合は停止)
・外形寸法 370mm×205mm×282mm ※ハンドル収納時
・重量:14.4kg
・サイクル寿命 約2000回

ちなみにこのポータブル電源は2023年度グッドデザイン大賞で「金賞(経済産業大臣賞)」を受賞している。

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