空気を入れる必要がないタイヤとして注目されているのがブリヂストン(BS)が開発した「エアフリーコンセプト」だ。空気を入れなくて済むということは、当然ながらパンクすることもない。そんな夢のようなタイヤだが、その開発の真意は使用済みタイヤの再利用を目指したものだった。ここでは試乗とともにエアフリーコンセプトの可能性を展望した。
空気を入れないのでパンクもしない
「エアフリーコンセプト」とはどんなタイヤなのか。タイヤと言えばこれまでは高圧の空気で膨らませ、それが車体の荷重を支えていた。エアフリーコンセプトではその代わりに特殊形状のスポークを活用する。空気をまったく使わないことから、パンクしないだけでなく空気圧管理などタイヤメンテナンスは一切不要。路面に接するゴムの部分についても、リトレッドによる張り替えで対応できるようになっているのもポイントとなる。
特に注目したいのが、路面から受けたショックの吸収方法だ。今までのタイヤなら充填された空気がバネのような役割を果たすわけだが、エアフリーコンセプトでは特殊な形状のスポークが衝撃に応じて変形して、その代わりをつとめる仕組みとなっている。つまり、このスポークの素材や造り込み次第で乗り心地やその特性を変さられることを意味する。そのため、車重や使い方に応じた設計が重要になるわけだ。
また、パンクしないだけにスペアタイヤが不要となることも見逃せない。最近はスペアタイヤを非搭載のクルマも増えているが、パンク修理キットも不要となるわけで、その分だけ軽量化につながる。それは燃費や走行性能にプラスとして作用し、特にバッテリーによる重量増が避けられないEVにとってはメリットが大きいと言えるだろう。