空気を入れる必要がないタイヤとして注目されているのがブリヂストン(BS)が開発した「エアフリーコンセプト」だ。空気を入れなくて済むということは、当然ながらパンクすることもない。そんな夢のようなタイヤだが、その開発の真意は使用済みタイヤの再利用を目指したものだった。ここでは試乗とともにエアフリーコンセプトの可能性を展望した。

超小型モビリティ向けはすでに実用レベル

では、そのエアフリーコンセプトの肝心の乗り味はどうなのか。試乗は東京都小平市にあるブリヂストンのテストコース「B-Mobility(ビー モビリティ)」で行われ、車両はタジマモーターコーポレーションが開発した超小型EV「ジャイアン」。タイヤのサイズ145/70R-12で、これを4輪すべてに装着し、大人二人が乗車した状態で実施された。

画像: 試乗に使われたタジマモーターの超小型EV「ジャイアン」。手前がエアフリーコンセプトを履いた車両で、奥が空気入りタイヤを履く。

試乗に使われたタジマモーターの超小型EV「ジャイアン」。手前がエアフリーコンセプトを履いた車両で、奥が空気入りタイヤを履く。

エアフリーコンセプトは、走り出しこそ空気タイヤよりも若干ゴツゴツとした硬さが伝わってきたが、20km/hを超えるぐらいからはしっとりとした落ち着いた乗り味を感じる。路面の突起を乗り越えると、車体の剛性の低さは感じるものの、ショックを上手に吸収してくれるので不快な印象はほとんどなし。コーナーでの通過でもハンドルの動きにリニアに反応してくれるので、違和感を感じることはほとんどなかった。

画像: 路面に突起物を仕組んだコースを試乗すると、その“いなし”方は空気入りタイヤと比べても遜色がないほどだった。

路面に突起物を仕組んだコースを試乗すると、その“いなし”方は空気入りタイヤと比べても遜色がないほどだった。

ただ、速度が上がるとロードノイズが少し大きめに感じる。窓を開けての走行となったことも影響しているかもしれないが、これはトレッド面のブロックが大きめだったことが考えられる。この日は、市販されているブリヂストンのタイヤ「スニーカー」を履いた車両との比較も行われたが、走り出しの硬めな印象以外はそれほど大きな差は感じられなかった。その意味では特殊形状のスポークの果たす役割は相当に大きかったと言えるだろう。

ブリヂストンとしては、まず普及が予想される身近な超小型モビリティ向けに市販化し、そこから100%リサイクルが可能な循環型社会の実現を踏み出していく考えだという。ブリヂストンが進める今後の展開に大いに注目していきたいと思う。

●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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