サーキットでもハイパフォーマンスを楽しめるEV
ヒョンデの高性能モデルブランド「N」は旧来から存在し、WRCをはじめとするモータースポーツで培われた知見を市販車両にフィードバックして、i20 Nやエラントラ Nなどガソリン車を中心に展開されてきた。このNモデルのラインナップに、はじめてEV(電気自動車)が追加されることが2023年7月に発表された。
2022年に日本におけるインポート・カー・オブ・ザ・イヤーやドイツのカー・オブ・ザ・イヤーなど、グローバルでいくつもの賞を獲得したヒョンデのEV、IONIQ 5をベースにした「IONIQ 5 N」で、英国で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公開、その走りも披露されている。
このハイパフォーマンスEVが今回、英国BBCで放映されている自動車番組トップギアにおけるアワード「トップ・ギア・カー・オブ・ザ・イヤー2023」に選出された。
審査員の高評価を獲得したのは、最高2万1000rpmまで許容して478kW(650ps/ブースト時)のハイパワーを生み出すモーターや、サーキット走行を見据えた電子制御サスペンション、回生ブレーキによる減速力を利用した荷重移動で鮮やかにターンインさせるNペダルなどで、運転の楽しさを最大限に引き出すための機能が採用されている点だ。
また、Nモデルに搭載される内燃エンジン+8速DCTのパワートレーンをシミュレートして開発されたN e-shiftにより、EVらしからぬエモーショナルなサウンド体験も実現しているという。
トップギアのライターでカー・オブ・ザ・イヤー審査員のポール・ホレル氏は、「ヒョンデのエンジニアたちは、当初IONIQ 5 Nを派手なガソリン車のような雰囲気にしようと考えていましたが、次第にEVでなにができるかを追求するようになりました。彼らはEVのデジタル領域を活用し、調整可能なパラメーターを大幅に増やしたのです。その結果、公道でもサーキットでも、大型EVとは思えないような走りを見せてくれました。驚くほど期待以上のクルマです。これは『EVにしては・・・』という意味ではありません。自動車として新たな1ページを開くことになりました」と語った。
このIONIQ 5 N、すでに注文受付を行っている英国で車両価格は6万5000ポンド(約1200万円)に設定されているが、日本での発売は未定となっている。