NFR-01のシェアサイクルは、まず首都圏から
和歌山県に本拠を置くグラフィットは2017年、クラウドファンディングサービス「Makuake」で1億3000万円もの資金を集めた折りたたみ式電動アシスト自転車、「GFR-01」を発売したことで一躍有名になった。そして2021年には後継モデル「GFR-02」の発売とともに、原付と自転車の車両区分をユーザー自ら切り替えられる(要オプション装着)モビリティとして認定されたことでも知られる。
このグラフィットが新たな電動モビリティとしてジャパンモビリティショー2023(一般公開は10月28日〜11月5日)で公開したのが「NFR-01」だ。一見GFR-02に似た自転車にも見えるが、実は特定小型原付(特定小型原動機付自転車)だ。
特定小型原付と聞くと電動キックボードをイメージする人も多いと思うが、この車両区分にボディ形状を指定した要件はなく、全長1.9m/全幅0.6mのサイズと最高出力、最高速度が決められている。つまり、自転車タイプがあってもおかしくないのだ。
電動キックボードが多い特定小型原付の市場において、自転車タイプの形状を選択したことについてグラフィットは「日本の道路環境にはキックボードが適合していないエリアがあり、また乗る人のルールの認知という課題もあります。その点で、14インチの大径タイヤを採用することで走行安定性を高め、またサドルのある自転車に近い車体形式とすることでルールを認識しやすくしています」と説明する。
自転車のペダルのように見える部分は可動しないステップ(足置き場)で、ハンドル右手にあるグリップを捻ることでリアホイールに内蔵されたモーターが駆動する。フレームにインクルードされたバッテリーによって約40kmを走行できるという。またハンドルに装着されたパネルで、車道専用の20km/hと歩道走行可能な6km/hを切り替えることができる。
このNFR-01は2024年に一般販売される予定だが、注目は同年1月からシェアサイクルのアプリ「ハローサイクリング」でも利用できるようになることだろう。
ハローサイクリングは260万人がユーザー登録するシェアサイクル市場の最大手で、首都圏や大阪・名古屋などの都市を中心に観光地など約7100カ所に拠点を展開、約2万台の電動アシスト自転車が配備されている。こうした拠点の中から、まずは首都圏を中心にNFR-01をひと月に250台ずつ導入していく計画だという。
運営するオープンストリート社(OpenStreet)によると、「現在は電動キックボードタイプの特定小型原付が認知されているが、多くの人が慣れ親しんできた自転車タイプの方が受け入れやすく、今後普及していくのではないか」としている。