「陸の巡洋艦」がフル電動化したコンセプトカーとして登場
2023年10月28日から11月5日の期間で一般公開される「ジャパンモビリティショー 2023」において、トヨタ自動車は東展示棟1階のスペース「EP02」で新型車やコンセプトカーなどの展示のほか、「カプセルバー(CAPSULE BAR)」や「ネオステア(NEO Steer)ドライビング体験」といった、見るだけではない体感イベントも用意するとしている。
そんなトヨタブースで公開されるクルマやテクノロジーの一部が新たに公開された。その中でも、国内外から注目を集めるであろうコンセプトカーが「ランドクルーザー エスイー(LAND CRUISER Se)」だ。
言わずと知れたクロカンブランドで「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」ことをコンセプトに開発されたシリーズである。フラッグシップの300シリーズをはじめとしてプラドや、2023年冬から順次発売されていく250シリーズや70シリーズなど注目を集めるモデルが多い。
クルマとしての特性や相性などさまざまな理由により電動化はされてこなかったが、2023年8月に公開されたランドクルーザー250にハイブリッドグレードを設定することが発表されている。シリーズの中で電動化の先陣を切り新たな歴史を刻んでいくことになる250に続き、今回公開されたコンセプトカー、ランドクルーザーSeはEVだ。
ランドクルーザー300よりも全長で約200mm長く、全高で約200mm低いボディシルエットは、スタイリッシュで上質感も感じられるもの。フル電動化によりトルクフルな加速を、そして高い静粛性を実現しながら、3列シートを採用することで世界からのさまざまなニーズに応えるという。
またランドクルーザーは70年以上ある歴史の中で、悪路走破性や頑強さなどの理由でラダーフレーム構造を一貫して採用してきたが、このコンセプトカーにおいてはモノコックボディを起用するようだ。「意のままに操るハンドリングとラフロード(荒れた道)を安心して滑走できる走破性を追求」したというが、詳細は「ジャパンモビリティショー 2023」で明かされるだろう。
特定小型原動機付自転車をイメージした電動の3輪モビリティも
もうひとつのコンセプトカーがEVのピックアップトラック「EPU(イーピーユー)」だ。こちらもモノコックボディを採用したEVで、高い耐久性と実用性、そしてスタイリッシュさを持ち合わせた次世代型ミッドサイズピックアップトラックのコンセプトである。全長は5070mmでハイラックスより300mm近く短いものの、キャビン背面のデッキスルー構造によってデッキスペースの使い勝手を大きく高めている。
また、電動パーソナルモビリティのコンセプト「ランドホッパー(LAND HOPPER)」は幅広い世代の眼を引きそうだ。改正道路交通法における「特定小型原動機付自転車」をイメージして開発され、免許を取得する前の16歳以上、また免許返納した後の移動範囲を広げるモビリティとしての活躍が期待される。
同社の「ランド」という名称からオフロードを想起させるうえ、前2輪の大径タイヤやリアサスペンションの装着などちょっとした悪路での走行も視野に入っているだろう。しかも折りたたみを可能として、クルマのラゲッジスペースに収納して、旅先でのツーリングという楽しみ方もできるようだ。
このほかにも、走破性とデザイン性を兼ね備えた電動車いす「ジェイユーユー(JUU)」や、月面をはじめとする宇宙空間で活躍する電動車「スペースモビリティ」、バイクハンドルのように手だけで操舵やアクセル・ブレーキ操作ができるコックピットコンセプト「ネオステア(NEO Steer)」も同時に公開された。
この中でも興味深いのがスペースモビリティで、実はプレスリリースに「プロトタイプ」と記載されているのだ。トヨタは2019年からJAXA(宇宙航空研究開発機構)と組んで、宇宙空間における有人探査活動に必要な有人与圧ローバ「ルナクルーザー」を共同研究していることで知られるが、今回のスペースモビリティは展示することを目的としたコンセプトカーよりも、一段先に進んだ存在であることが窺える。
いずれにしても詳細が明らかになるであろう「ジャパンモビリティショー 2023」が楽しみである。